90文学

神々の山嶺/夢枕獏

『神々の山嶺(集英社文庫)』を読んだよ。物語の長さも神々しい。山岳小説と言えば新田次郎が自分的には定番なんだけど、それは他の作家の作品で山岳小説がそれほど出ていないということもあるような…。そんなわけで、本書が話題になったり、映画化された時…

羅生門・鼻・芋粥/芥川龍之介

『羅生門・鼻・芋粥 (角川文庫)』を読んだよ。たまには読んでみるのもいい。いつかは読もうと思い、Kindleセールで買っておいたもの。日本人なら誰もが知っている芥川龍之介。そして、その代表作が収録されている本書。「羅生門」も「鼻」も「芋粥」も、過去…

小説 ほしのこえ/大場惑

『小説 ほしのこえ (角川文庫)』を読んだよ。SF風ノスタルジー。映画『天気の子』が公開されて、本屋に行くとその文庫本が山積み。『君の名は。』で一世を風靡した新海誠の最新作ということだけど、新海氏の原点が本書の原作となったアニメ作品『ほしのこえ…

空飛ぶタイヤ/池井戸潤

『空飛ぶタイヤ 上下合本版』を読んだよ。ビジネス・エンターテイメント。上下合冊のKindle版。716頁もの大作だけど、グングンと引き込まれて、その勢いを継続したまま読了という感じ。久しぶりに読了後の達成感も高し。ある運送会社のトラックからタイヤが…

夢をかなえるゾウ3/水野敬也

『夢をかなえるゾウ3 文庫版』を読んだよ。神様、いろいろ。ガネーシャシリーズもいつの間にか第3弾。文庫版が出るのを待っていて、ようやく出たので図書館に素早く予約。やっぱり、人気だよね。あっという間に予約多数になったから。さて、今回はブラックガ…

フーテンのマハ/原田マハ

『フーテンのマハ (集英社文庫 は 44-3)』を読んだよ。美術史小説というカテゴリがあるのか…。紀行文は嫌いじゃないので、あれこれ目に入ったものを読んでいるけど、今回は以前に読んだ本に紹介されていたもの。何の本だったか忘れたけど。 もうひとつ気にな…

ロビンソン・クルーソー/ダニエル・デフォー

『完訳 ロビンソン・クルーソー (中公文庫)』を読んだよ。単なる冒険譚ではなく。少年少女向けの正しい読み物として児童書が出ている本書。自分はどうだったかというと読んだ記憶は無し。孤島に漂流されて、後にフライデーという黒人を仲間にして、なんとか…

天才/石原慎太郎

『天才 (幻冬舎文庫)』を読んだよ。意外と知らなかった…。元内閣総理大臣田中角栄の自伝風小説。しかも、筆者が石原慎太郎。単行本が出た時に、あの石原慎太郎があの田中角栄をどのように描くのかという点でちょっと注目。そして、文庫版も意外に早く出た。…

夜間飛行/サン=テグジュペリ

『夜間飛行 (光文社古典新訳文庫)』を読んだよ。人生訓を読み取る。サン=テグジュペリといえば日本では『星の王子さま』ばかり。だから、童話作家なのかと勘違いしそうだけど、本書のような大人向けの小説が彼の作品の標準。そして、飛行機乗りだったという…

異類婚姻譚/本谷有希子

『異類婚姻譚 (講談社文庫)』を読んだよ。現代風SFおとぎ話。第154回芥川賞受賞作のこの物語。題名からして異端な気がして気になってはいたんだけど、この度めでたく文庫化されたので、手にとってみる。 そもそも一般名詞としての異類婚姻譚とは、Wikipedia…

あやしい探検隊 不思議島へ行く/椎名誠

『あやしい探検隊 不思議島へ行く 「椎名誠 旅する文学館」シリーズ』を読んだよ。本当に不思議だらけ。椎名誠のあやしい探検隊シリーズ第3弾。今回は島巡り。もちろん、浜辺で天幕が張れれば、そこで焚き火キャンプをするのはあやしい探検隊のご定番。とは…

コンビニ人間/村田沙耶香

『コンビニ人間 (文春文庫)』を読んだよ。これも普通だと思う。村田沙耶香氏の第155回芥川賞受賞作。タイトルと表紙に惹かれて気になってはいたんだけど、早くも文庫版が登場したので、遅れてはならじと図書館予約。お陰で、早めに読むことができてめでたし…

池袋ウエストゲートパーク/石田衣良

『池袋ウエストゲートパーク』を読んだよ。自分の知らない世界…。作家石田衣良氏のデビュー作が本書。表題の『池袋ウエストゲートパーク』の他に3作品。以前に『美丘』を読んだことがあったけど、甘酸っぱい青春小説っていうより、芯の通った生き様小説とい…

陰陽師 飛天ノ巻/夢枕獏

『陰陽師 飛天ノ巻 (文春文庫)』を読んだよ。博雅はよい漢。陰陽師シリーズの第2弾。第1弾が面白かったので、この第2弾はだいぶ以前にkindle本で購入済み。積読状態だったけど、やっとこの度読了。 そして、今回も安倍晴明と源博雅の名コンビによる事件解決…

考えるヒント/小林秀雄

『考えるヒント』を読んだよ。考える以前に理解が…。小林秀雄の著作の中では最も有名なものと思われる本書。自分が本屋に通い始めた頃から、文春文庫の棚には必ず見かけたものだし、この黄色の表紙はシンプルだけどインパクトがあるよね。そんなわけで子供の…

あやしい探検隊 北へ/椎名誠

『あやしい探検隊 北へ 「椎名誠 旅する文学館」シリーズ』を読んだよ。北だけではなく、南にも行く。椎名誠の「あやしい探検隊シリーズ」の第2弾。タイトルは「北へ」となっているけれども、なぜか突如として南に行くことになるのもいかにも怪しいし、シー…

本よみの虫干し/関川夏央

『本よみの虫干し―日本の近代文学再読 (岩波新書)』を読んだよ。やっぱりSNS?副題は「日本の近代文学再読」ということで、本書の内容はまさにこれ。作家の関川夏央氏が日本の近代文学(とは言え、海外文学もあるんだけど。)から選んだ本について考えたこと…

楽隊のうさぎ/中沢けい

『楽隊のうさぎ (新潮文庫)』を読んだよ。今の自分にもうさぎが欲しい。新潮文庫編集部が毎年出している「中学生に読んでほしい30冊」シリーズ。ということで、夏休みはこの中から1冊ということで本書。主人公は、奥田克久という中学生。中学に入学してから…

「粗にして野だが卑ではない」石田禮助の生涯/城山三郎

『「粗にして野だが卑ではない」石田禮助の生涯 (文春文庫)』を読んだよ。実業家という言葉がピッタリ。三井物産の代表取締役社長を経て、国鉄総裁を歴任した石田禮助氏の半生記。1886年(明治19年)に伊豆の松崎町に生まれ、一橋大学を卒業後、三井物産に入…

失速・事故の視覚/柳田邦男

『失速・事故の視角 (文春文庫 240-1)』を読んだよ。政治的殺人か…。柳田邦男氏の航空機事故追跡ルポシリーズ(あっ、自分が勝手に呼んでいるだけ)の1冊。昭和51年の『失速』と昭和53年の『事故の視覚』という単行本から航空機問題に絞って、再編集したもの…

夫婦で行くイスラムの国々/清水義範

『【電子特別版】夫婦で行くイスラムの国々 夫婦で行く旅シリーズ (集英社文庫)』を読んだよ。イスラムに拘る。清水センセーの著作はパスティーシュの時代から継続的に読んでいるけれども、この「夫婦で行く旅シリーズ」は清水センセーの新境地という感じ。…

さらば国分寺書店のオババ/椎名誠

『さらば国分寺書店のオババ 「椎名誠 旅する文学館」シリーズ』を読んだよ。オババに会っていたとは…。本書が情報センター出版局から出版されたのが1979年11月。どうして、本書を知ったのかは全く記憶にない。けれども、本書は当時の自分にとって衝撃的な出…

時をかける少女/筒井康隆

『時をかける少女 (角川文庫)』を読んだよ。原田知世の歌はヤバイ。原田知世が主演した映画『時をかける少女』が1983年ということだから、もうかれこれ30年以上前の話。TVの歌番組で盛んに流れていたっけ。YouTubeで探してみると夜のヒットスタジオにも出て…

ポケットに名言を/寺山修司

『ポケットに名言を (角川文庫)』を読んだよ。名言は無数にある。読書の端境期には軽めのものを選んで、ツナギにしているんだけど、本書はそのストックのうちの1冊。とは言っても、相手は寺山修司。手強いイメージがあるので、どうなるかとは思ったけれども…

雁道/三遊亭円丈

『雁道(がんみち)―名古屋禁断の書』を読んだよ。まだまだ知らない名古屋弁、多し。『日本の異界 名古屋』の中で、名古屋人による名古屋の分析本の嚆矢として紹介されていた本書。そういえば、清水センセーも本書の著者である三遊亭円丈も若くして名古屋を脱…

蝶々殺人事件/横溝正史

『蝶々殺人事件 「由利先生」シリーズ (角川文庫)』を読んだよ。時代背景にも興味が。久しぶりに推理小説。しかも横溝正史ということだから、例の金田一耕助モノと思うかもしれないけど、本書は金田一耕助が登場する前の由利先生シリーズの第1弾。だから、横…

不思議の国のアリス/ルイス・キャロル

『不思議の国のアリス (角川文庫)』を読んだよ。アリス自身が不思議ちゃん。米アマゾン選定「一生のうちに読むべき100冊」のうちの1冊。機会があれば、このリストの中から適当なものを拾い出して、読んでいるんだけど、今回は以前にKindle本を入手したので、…

小説 君の名は。/新海誠

『小説 君の名は。 (角川文庫)』を読んだよ。時間も空間も飛び越える。去年の夏にアニメ映画として話題になっていたこの作品。だから、あえて「小説」というタイトルが付くみたい。あらすじはあちこちに書かれているので、もうここでは書かないことにする。…

アンダーグラウンド/村上春樹

『アンダーグラウンド (講談社文庫)』を読んだよ。日常の中の暴力。作家の村上春樹っていうとほとんど小説の人というイメージだと思うけど、本書は数少ないノンフィクション作品の一つ。そして、その題材は、地下鉄サリン事件。村上春樹とこの事件が自分的に…

初恋/トゥルゲーネフ

『初恋 (光文社古典新訳文庫)』を読んだよ。ロシア文学は嫌いじゃない。ロシア文学というとなんだか分厚いものが多いよなぁ〜と思いながら、敬遠気味。さらに、登場人物の名前が長い(読み難い)とか、変わるとかという噂もあり、基本的には手を付けない部分…