池袋ウエストゲートパーク/石田衣良

池袋ウエストゲートパーク』を読んだよ。自分の知らない世界…。

作家石田衣良氏のデビュー作が本書。表題の『池袋ウエストゲートパーク』の他に3作品。以前に『美丘』を読んだことがあったけど、甘酸っぱい青春小説っていうより、芯の通った生き様小説という感じだったかな。今回もそんな感じではあるんだけど、もう少し社会的な要素が取り込まれ、物語が展開していく。

主人公はマコト。地元の工業高校卒。池袋西口果物店を営む母親と同居。たまに店の手伝い。日頃の居場所は池袋西口公園。そこに集う若者たち。ヤバイ商売に手を染める女たち。それに群がる男たち。警察には言えないようなトラブルは起こる。マコトは仲間たちを使って、トラブルを鮮やかに解決していく。

前半の3作は軽いジョブという感じで、面白かったのは『サンシャイン通り内戦』。前の3作品で登場した人物が力を結集して問題解決に当たる。話の展開がスピーディで引き込まれるように読み進む感覚がいかにも若者らしいしね。

さて、マコトの求心力の源泉って何なのか。マコト自身は、

「ガキどもにはモデルがない。身近なところに目標になる大人がいないし、夢も見せてもらえない。おれたちはモデルと絆を用意する。自分が必要とされている充実感、仲間に歓迎を受ける喜び。規律と訓練。今の社会では得られないものを、力をあわせ見つける」
と語る。マコトだって、年齢的には十分にガキなんだけど、しっかりした分析力だよね。果物屋の手伝いをしているのは勿体ないほどの能力だと思うんだけど。そっか、こうやって大人になっていくんだね。どんな大人になるのか、楽しみだなぁ~。

池袋ウエストゲートパーク
文藝春秋 (2012-09-20)
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