羅生門・鼻・芋粥/芥川龍之介

羅生門・鼻・芋粥 (角川文庫)』を読んだよ。たまには読んでみるのもいい。

いつかは読もうと思い、Kindleセールで買っておいたもの。日本人なら誰もが知っている芥川龍之介。そして、その代表作が収録されている本書。「羅生門」も「鼻」も「芋粥」も、過去には読んだことがあるんだと思う。単にストーリーを知っているだけかもしれないけど。でも、それだけ日本人には浸透している作品なのだと思う。いつかはきちんと読んでみようと思っていたのもそれ故か。

本書は芥川龍之介の初期作品短編集。芥川作品の特徴らしいけど、色々なタイプの作品有り。旅行記風、歴史読み物風とか。但し、難儀したのは候文。一作品だけだけど。その中でも表題作の三作品は比較的読みやすいかな。ストーリーを知っているということもあるかもしれないけど。

そして、それぞれの作品の末尾に日付が入っているので、その時期が分かる。概ね明治末期から大正5年頃までの作品がほとんど。芥川の年齢を考えると、ほとんどが彼の20代の中頃までの作品ということになるのか。そう、その年令を考えると芥川の天才ぶりが分かるのかもしれない。逆にいうと、若くないというか、大人過ぎるというか。一例に過ぎないけど、

──人間は、時として、みたされるかみたされないか、わからない欲望のために、一生をささげてしまう。その愚をわらう者は、ひっきょう、人生に対する路傍の人にすぎない。
とか。20代前半の若者から発せられる言葉だろうか…。

ちょっと若者らしい感覚の作品が「日光小品」。ここでは、

こんなことを考えながら半里もある野路を飽かずにあるいた。なんのかわったところもないこの原のながめが、どうして私の感興を引いたかはしらないが、私にはこの高原の、ことに薄曇りのした静寂がなんとなくうれしかった。
と。自然の感覚を素直に表現しているように思えて、読者もホッとするかも。

研究しつくされている芥川作品も、難しい解説は抜きにして、素直に読んでみるのもいいかもしれないね。

羅生門・鼻・芋粥 (角川文庫)
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