蝶々殺人事件/横溝正史

蝶々殺人事件 「由利先生」シリーズ (角川文庫)』を読んだよ。時代背景にも興味が。

久しぶりに推理小説。しかも横溝正史ということだから、例の金田一耕助モノと思うかもしれないけど、本書は金田一耕助が登場する前の由利先生シリーズの第1弾。だから、横溝正史の著作としては初期のものだと思う。表題作の他に短編2編が収録されているけれども、この2編はどちらかと言うと、金田一耕助シリーズの萌芽を感じさせ、オドロオドロシイ作品になっているよ。

この由利先生シリーズは、由利先生と三津木という新聞記者がペアになって、事件を解決するというもの。内容的には怪奇性はなく、現代推理小説に近い感じかも。由利先生も金田一耕助とは違い、極々真っ当な人物っぽく書かれているし。
それでも、時代は昭和12年。舞台は東京と大阪。その間に関係者の移動があるんだけど、当然に時間が掛かる。だから、現代ではこの話は全く成り立たなそうな感じ。まぁ、そこがこの物語を楽しめる要因でもあるんだけどね。その他には、ちょっとした暗号とか、芸術家の気質とか、男女の機微など、この物語を盛り上げている多くのアイテムがいいよね。

では、犯人はというと、それほど意外性もないというオチ。ポイントは、現場は東京なのか大阪なのかという点。文中でも筆者は読者に対し、「犯人が分かるかな?」と問いかけているから。

自分的に意外だったのは、由利先生の奥さん。いや、それはないだろう…というオチだったわ〜。

蝶々殺人事件 「由利先生」シリーズ (角川文庫)
蝶々殺人事件 「由利先生」シリーズ (角川文庫)横溝 正史

KADOKAWA / 角川書店 2002-03-08
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