ロビンソン・クルーソー/ダニエル・デフォー

完訳 ロビンソン・クルーソー (中公文庫)』を読んだよ。単なる冒険譚ではなく。

少年少女向けの正しい読み物として児童書が出ている本書。自分はどうだったかというと読んだ記憶は無し。孤島に漂流されて、後にフライデーという黒人を仲間にして、なんとか島を脱出する…めでたしめでたしというイメージ。そして、漂流モノが好きだから、いよいよ、この有名な物語を読んでみようかという感じになったわけ。

では、どんな物語だったのか。
前半はある島に漂着し、生活を定着させるという物語。難破船から荷物を引き上げるのも一人ではままならず。とは言っても、貴重は物資は無駄にしてはならずということで、創意工夫が始まる。そして、寝床、食料の確保、外敵からの自衛など、やることは山のようにある。逆に言うと、それしかやることはないので、時間はすべてその活動に使えるってこと。さらには、穀物生産や家畜を増やすことなどにも挑戦し、成功していく。

途中、自分の境遇についても思考を巡らす。

いまやわたしは、どんなにみじめな環境にあっても、わたしが過去ずっと過ごしてきた邪悪で忌まわしい呪われた生活と比べればどんなに幸福か、やっとはっきりとわかりはじめたのであった。
とか、
われわれに欠けたものに対する不満のいっさいは、持つものに対する感謝の気持ちがないことから生まれてくる、とわたしには思われる。
とか。哲学的になったり、神について考えたり。いや、時間はたっぷりあるから、色々と考えることも多いだろうね。

フライデーが登場してからの後半は物語が急展開する。なんだか急に人間臭くなり、最後は「総督」と呼ばれるようになったり。まぁ、総督としての采配は見事だったと思うけど。

この物語を理解するには、当時のヨーロッパでの時代背景を知っておくことは意味があるかもしれないね。解説に詳しく書かれていたので、なるほど!と思うこと多数。そもそもどうしてロビンソン・クルーソーが船に乗ったのかとか、漂着した島は「絶海の孤島」だったのか?とか。うん、自分的には前半の冒険譚は好きだけど、そうではない『ロビンソン・クルーソー』を知ったのも良かったかな。

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