夜間飛行/サン=テグジュペリ

夜間飛行 (光文社古典新訳文庫)』を読んだよ。人生訓を読み取る。

サン=テグジュペリといえば日本では『星の王子さま』ばかり。だから、童話作家なのかと勘違いしそうだけど、本書のような大人向けの小説が彼の作品の標準。そして、飛行機乗りだったということにも、ちょっと普通の作家とは違うということも注目すべき点かな。

ということで、この物語も飛行機乗りの話。南米で郵便を運ぶ航空便を巡り、人生とは、人間とはといった哲学的なテーマを物語の中に折り込みながら、話が進んでいくという感じ。
構成としては、大きく前半、後半に分かれ、前半は登場人物や、物語の背景など、ちょっと冗長的。前半に飽きてきた頃に、大きな事件が起こり、話が急展開し、テンポが良くなっていく。そして、その事件に対して、人々の思いが渦巻く。

例えば、

「わたしはどの部下も好きだ。わたしが戦っている相手は人間ではない。人間を通じて姿を現わすものなのだ」
とか、
「ひとの生に価値がないとしてみよう、われわれはいつも、それ以上に価値の高いなにかがあるようにふるまっているのだから……。だが、その何かとは何なのか?」
とか、
「わからないかね、ロビノー。人生に解決策などない。前に進む力があるだけだ。つまりその力を創り出すしかない、そうすれば解決策はあとからついてくる」。
とか。それぞれのセリフが人生の意味を言い当てているような気がするよね。解決策などないと言っているように、考え方を示しているんだろうね。そういう意味では、『星の王子さま』と同じだったのかなぁ…。

夜間飛行 (光文社古典新訳文庫)
光文社 (2013-12-20)
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