異類婚姻譚/本谷有希子

異類婚姻譚 (講談社文庫)』を読んだよ。現代風SFおとぎ話。

第154回芥川賞受賞作のこの物語。題名からして異端な気がして気になってはいたんだけど、この度めでたく文庫化されたので、手にとってみる。
そもそも一般名詞としての異類婚姻譚とは、Wikipediaによると、

人間と違った種類の存在と人間とが結婚する説話の総称。
となっている。つまりは、ちょっと怖い話。いや、人間同士の結婚だって、未知との遭遇的ではあるから、それを極端に表現したら、この物語になるだろうな…。

ストーリーはいろいろなメディアに紹介されているから、ここでは省略し、自分的な違和感を少々。
まずは、主人公が夫のことを「旦那」と表現していること。結婚4年でもう「旦那」か?この表現にも異類婚姻たる要因が隠されているような…。
もう一つは、その旦那の言動に特段の注意や怒りがないこと。あまりに自分勝手な言動のように思うけど、それでいいのか?と疑問。楽に生きるとはそういうことなのか…。あるいは、人間以外のものと結婚したという達観なのか…。

とは言え、そういう主人公も人間ではなくなっていく気配もある。

恥ずかしくなって私が白状すると、アライ主人は私のほうをじっと見据えて、それから、「うん。それもあるかもしれないけど、あなたはもう少し、ちゃんと人の形をしていたかなあ。」と呟いた。
と。あぁ、自分も「人の形」をしているだろうか。鏡を見ても、分からないだろうなぁ…。

異類婚姻譚 (講談社文庫)
本谷 有希子
講談社 (2018-10-16)
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