フーテンのマハ/原田マハ

フーテンのマハ (集英社文庫 は 44-3)』を読んだよ。美術史小説というカテゴリがあるのか…。

紀行文は嫌いじゃないので、あれこれ目に入ったものを読んでいるけど、今回は以前に読んだ本に紹介されていたもの。何の本だったか忘れたけど。
もうひとつ気になったのは、「原田マハ」という著者。本屋に行くとこの名前をよく見かけるようになったから。

まずは冒頭で、

旅が好きだ。「移動」が好きなのだ。移動している私は、なんだかとてもなごんでいる。頭も心もからっぽで、心地よい風が吹き抜けていく。
と筆者。そう、コレコレ。自分も乗り物好きと称しているけど、本質的なところでは「移動」が好きなのかもしれない。いいなぁ~、あちこち移動できるなんて…。

では、著者はどこにどんな風に移動するのか。
前半は「ぼよグル(正式名称=ぼよよんグルメ)」と名付けられた著者の大学時代の友人との二人旅。四季折々の日本国内を、文字通りぼよよ~んと旅し、その土地の美味しいものを探して食べ歩くこと。まぁ、普通っぽいと言えばそうだけど、作家の筆に掛かると、それがそれなりに楽しい旅となって、文字化されるわけで。

そして、旅にもテーマがある。その一つが、

本書ならびに小説『旅屋おかえり』の取材のために出かけた旅で、我ながらもっとも興味深いテーマだったのが「あらゆる手段を使って移動する」というものだ。
というもの。おっ、これは面白い。実は自分も過去にこのテーマで出張に出かけたことがあったっけ。いや、面白かったのは事実。

最後はアートがテーマの旅。小説執筆の取材でもあるんだけど、

マティスもこんな気持ちだったのかな。モネは何を見ていたんだろう――と、想像を巡らせながら旅をする。だから、それがたとえひとり旅でも、ちっともさびしくはない。わくわくしながら、世界中、さまざまなアーティストを追いかけて、彼/彼女の原風景を追体験するために、旅をしているのだ。
と言っているよ。よくわかる、このワクワク感。だから、夢中になり、時間を忘れる旅。そして、自分の中にしっかりインプットされる旅。だから、それが小説にできるんだろうね。次は、著者の美術史小説とやらに挑戦してみようかな。

フーテンのマハ (集英社文庫 は 44-3)
原田 マハ
集英社 (2018-05-18)
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