人類が生まれるための12の偶然/眞淳平

『人類が生まれるための12の偶然』を読んだよ。奇跡と言われるのが分かる気がする。

ビッグバンから銀河系の誕生、地球の歴史、生命の誕生、人類の進化などはある偶然がなければ、あり得なかったという点を論点に、それを中高生向けに分かりやすく解説した本だよ。
監修は『宇宙人としての生き方』の松井先生。だから、進化の話では「おばぁちゃん仮説」が登場するよ。

では、どのような偶然があったのか。
根本的には、この宇宙そのものが生まれたこと。ビッグバンから始まったと一般には思われているけれども、正確には宇宙の始まりがあって、その直後にビッグバンが起こったのだとか。
そして、宇宙というものは、あたかもポンとでもいうように生まれたと考えられているという。

宇宙が何もないところからポンと生まれても、不思議なことではない。生まれた宇宙がその後に膨張を始め、137億年ほど後には今のような姿になったというだけで、宇宙が生まれるということ自体は自然なことだ、というのです。
このことは、宇宙はそこかしこで生まれたり消えたりしているっていうことを意味するわけ。だから、我々の宇宙はほんのたまたまの産物でしかないんだよね。

そして、46億年前に太陽系が誕生。ここでも、偶然が重なる。太陽の大きさとか、太陽と地球との距離とか。
もう一つ、アッシの注目する偶然は「二つの巨大惑星(木星土星)の存在」。強い重力を持つ木星土星が近くを通りかかった隕石や小天体などを引っ張り、自らに衝突させることで、地球に落ちてくる頻度や数が大幅に減らしているという。これが一つや三つではダメで、二つだからこその作用だとか。まったくの驚きだよね。

さらに偶然は続く。地球に影響を与える月の存在。そして地球そのものの環境の変化。水の存在と生物の誕生。

本書で紹介されている12の偶然は、偶然というだけあって、それぞれが起こり得る確率が相当低いわけ。それが12事象も重なることでこの人類の進化があることを考えると、それは奇跡を通り越してなんと表現すればよいのか。
それでも、これらの偶然はあくまで「人類」が生まれることが大前提。筆者もその視点は見落とさない。

環境問題を考える祭に、よく「地球に優しく」などといいますが、これほど実態とかけ離れた表現はありません。地球は、人類に優しくされたいと思うほど弱い存在ではありません。
それは、地球が生物をたびたび大絶滅に追い込み、その中から新たな生物を進化させてきたこれまでの歴史を振り返れば、すぐにわかります。
地球にとって、私たち人類のかわりはいくらでもいるのです。
いや、地球にとって生物の有無なんて、なんの意味もないこと…なんじゃないか。
人類が生まれるための12の偶然 (岩波ジュニア新書 626)
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