海馬―脳は疲れない/池谷裕二,糸井重里

『海馬―脳は疲れない』を読んだよ。茂木さんの二番煎じかと思ったけど…。

東京大学の薬学博士・池谷裕二氏とご存知糸井重里氏の対談集。池谷氏は、以前に職場の研修で講演を聴いたことがあったよ。話は確かに面白かったけど、脳科学者だと思っていたので、「茂木さんの二番煎じかぁ〜。」と思っていたわけ。それでも、脳のことが知りたくて、一応図書館に予約。かなり予約が入っていて、ようやく読了。元々は薬の人なんだね。

で、対談のテーマは脳。脳の中でも記憶を司る海馬という部位が話の中心。脳の神経細胞は生まれてから減る一方なんだけど、この海馬の神経細胞だけは増えたり減ったりするとか。つまりは、増やすことによって、頭を良くする事も可能なのかも。

では、頭がよいとは何なのか。単に記憶力の問題でもなく、いろいろと事象を関連付けて考え、それがアウトプットすることが出来る人は頭がいいって言われるよね。そう、海馬は、記憶の関連付けとか取捨選択を担っているとか。池谷氏は、

海馬は情報の仕分けという非常に大切な役割を担っていますから、海馬の神経細胞の数が多ければ多いほど、たくさんの情報を同時に処理できます。ということは、海馬が発達すれば、たくさんの情報を同時に残そうと判断できるだろう、ということです。
と解説。うれしいのことに、海馬が増えることは年齢に関係ないとか。アッシもまだまだ増やせるかぁ〜。

さらに海馬の神経細胞を増やす方法を知りたいよね。池谷氏の仮説は、「海馬が、扁桃体(脳の部位)の感情を参照しながら情報を取捨選択していく」というもの。糸井氏がこれを、

海馬が記憶を製造するチカラを増強させるためには、たのしいことや悲しいことの刺激をたくさん受けることは、重要ですね。
と表現しているよ。人間にはある程度の刺激のある環境が必要なんだよね。「かわいい子には旅をさせよ」もこれで納得するよね。

記憶についても、池谷氏は「記憶メモリー(WHATの記憶)」と「経験メモリー(HOWの記憶)」のふたつに分けて考える。そして、何かを考えることについて、「HOWの記憶の組み合わせである」という。糸井氏曰く、

クリエイティブな仕事をそういう視点で見ると、おもしろいんじゃないかなぁと思います。「名人の極意」だとか、クリエイティブだと言われているようなこと全般が、「実はHOWの記憶の組み合わせでできている」というか、クリエイティビティも、一種のテクノロジーなんだと考えられますから。
と。「創造性はテクノロジーである」と池谷氏も共感。そう、どの道でも名人と言われる人はよ〜く考えているよね。

そう、頭は使えば使うほどよくなる。ワンパターンはダメ。頑固もダメ。常にアンテナを張って、新しい刺激を求めると、記憶の組み合わせが増えて、ひらめきもある。
あ〜、日ごろからそうだろうと思っていたことがこうも理論的に解説されるとうれしいよね。茂木さんとは違う脳の本で楽しめました〜。

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