宇宙を語る〈1〉/立花隆

宇宙を語る〈1〉宇宙飛行士との対話 (中公文庫)』を読んだよ。宇宙に行っていない宇宙飛行士もたくさん。

筆者の立花隆氏の宇宙関係の著作としては、『宇宙からの帰還』があるよね。高校生の時に読んだ記憶があるけれども、本書よりさらに年代的には古い時代。まさに、人類の宇宙黎明期のもの。ガガーリンとかアポロ11号とか。だから、本書に登場する日本人宇宙飛行士たちは、『宇宙からの帰還』を読んで宇宙に夢を抱く世代。アッシと同じ世代だね。

おっと、また前置きが長くなった。本書に登場する日本人飛行士は4名。まずは、毛利衛氏。
どの宇宙飛行士にも出る話なんだけど、無重力状態の身体への影響について。毛利氏は数日で慣れるという。これを、

初日、無重力状態になったとたんに体液が上半身にグッと上がってきて、体内のバランスが崩れますよね。そうすると私の体の中で、細胞レベルから、体液のレベルから、ホルモンのレベルから、すべてのものが、本当に一生懸命バランスを組み換えて、その新しい平衡状態に向かって順応しようとしているのがわかるんです。
と言う。人間の順応能力のすごさ。うん、だからこそ、生物の進化の結果として、生き延びてきたんだろうね。おっと、人間だけではないか、生物の順応力のすごさなのかも。

二人目は、向井千秋氏。
スペースシャトル「チャレンジャー」の事故を受けて、宇宙への出発が延期されたわけだけど、その「チャレンジャー」の事故当時の様子を人工衛星から撮影した写真を見た時の感想が凄い。

人間から見ればすごく大きな、そして科学の粋を集めた2000トンのシャトルの爆発でも、自然界から見ればフロリダ半島から上がっていくひと筋の白煙にしかすぎない。やっぱり人間の力というのはこのぐらいのものだったのかなと本当にガッカリした記憶があります。
と。そう、ちっぽけなものだという自覚も必要なんだよね。でも、それでも、そのちっぽけさを知力で克服しようとする人間。これがすごいことなんだと思うよ。

三人目は、菊地涼子氏。
アッシは知らなかったけど、TBSの秋山氏とともにソ連で宇宙飛行士の訓練を受けていたという。菊地氏もTBSの社員。最終的にソユーズに乗ったのは秋山氏だったけど、菊地氏は訓練を受けた正真正銘の宇宙飛行士というわけ。
宇宙飛行士になるには厳重な身体検査をクリアする必要があるけれども、菊地氏の身体の特徴は“原始的”だとか。いまだに、お尻が青いとか、霰粒腫ができるとか、扁桃腺肥大とか。現代人には少ない特徴ということ。あっ、アッシも少年期には霰粒腫ができたっけ。お尻は青くないけど。

四人目は、野口聡一氏。野口氏のインタビューは文庫版に追録されたものなので、比較的新しいよね。
野口氏はまさに『宇宙からの帰還』の愛読者。だから、『宇宙からの帰還』の話題が多く出ているよ。宇宙黎明期のパイオニアと自分たちの時代の宇宙飛行士との違いを、

宇宙飛行黎明期のパイオニアたちと、物心つく頃には人類が月面に達していた現代っ子宇宙飛行士では、宇宙に行くこと自体のインパクトが違うかもしれません。結論から言うと私の宇宙飛行の前後ではドラスティックな宗教的な目覚め、神の啓示といったものとは縁がありませんでした。
と言っているよ。それでも、船外活動をした人間にとって、何かが変わったも言っているのだけれども。

そして、四人に共通すること。それは、「もう一度飛びたい」と。これは理屈抜きの思いなんだろうね。なんだか、アッシも宇宙に行ってみたくなってきた。

宇宙を語る〈1〉宇宙飛行士との対話 (中公文庫)
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