限界費用ゼロ社会/ジェレミー・リフキン
『限界費用ゼロ社会』を読んだよ。コストをどこに掛けるか。
モノのインターネットといえばIoTというわけで、IoTビジネスとか今後の展望を期待して手に取った本書だけど、それよりもさらにスケールの大きな話だった。期待外れというわけではなく、別の視点を得ることができたという感じ。副題は「<モノのインターネット>と共有型経済の台頭」。だから、主題は後者の「共有型経済の台頭」ということになる。「台頭」というより、「転換」と言ってしまったほうがよいような…。本書はその主題をひたすら語り続けるといった感じ。途中で飽きてくるけれども。
では、IoT、限界費用ゼロ、共有型経済はどのように結びついているのか。本書の説明では、
IoTの可能性をめぐる大きな興奮の陰に隠れてしまっているが、あらゆる人とモノを結びつけるグローバルなネットワークが形成され、生産性が極限まで高まれば、私たちは財とサービスがほぼ無料になる時代に向かってしだいに加速しながら突き進むことになる。そしてそれに伴い、次の半世紀の間に資本主義は縮小し、経済生活を構成する主要なモデルとして協働型コモンズが台頭してくる。といった感じ。一応、ストーリーになっているよね。
そして、それを支える3つのインフラ。それは、
インフラには三つの要素が必要で、そのそれぞれが残りの二つと相互作用し、システム全体を稼働させる。その三つとは、コミュニケーション媒体、動力源、輸送の仕組みだ。これらの有り様が劇的に変化することも重要な要素ということ。そして、共有型経済への移行は必然になっていくんだよね。
最後は人間の価値観の変化。
生活の大半が協働型コモンズで営まれるという高度に自動化された世界に生きる私たちの子孫にしてみれば、人間の価値はほぼ絶対的に当人の財やサービスの生産高と物質的な豊かさで決まるという考え方そのものが、原始的に、いや、野蛮にさえ思え、人間の価値をひどく減じるものとしてしか捉えようがないはずだ。となりそうだね。その萌芽が見えてきているし、その恩恵にも預かりつつある。自分が生きている間にも世の中がすっかり変わっていくんだろうなぁ~。