スタイルズ荘の怪事件/アガサ・クリスティー

スタイルズ荘の怪事件』を読んだよ。ポアロは人生相談も請け負うらしい。

kindle積読本のうち、ポアロものの2冊目。早川書房から出ているクリスティー文庫の1冊だけど、このシリーズを読破するにはどのくらいかかるだろうか…と意味のない心配をする暑い夏。
翻訳ものの難点は、人名がすぐに頭に入ってこないことと、カタカナが人名なのが地名なのかの区別がつきにくいこと。特に人名の場合は、登場人物の人間関係にも関係してくるから、よく把握しておかないと、途中でワケわらなくなり、投げ出したくなることも。
ということで、本書もその例外にもれず、義理の息子とか旧友の娘とかが出てくるので、巻頭の「登場人物」を何度も見直したことか…。前回の『そして誰もいなくなった』はその点はシンプルで分かりやすかったかも。

本書の物語は「怪事件」というほどのものではなく、スタイルズ荘の女主人殺人事件といったところか。そして、最も怪しいと思われる人物がその夫というところから始まり、その真相はいかに…という感じ。

ワトソン役のヘイスティングスが語り役だから、ポアロを第三者の観点から見ているので、そのやり取りが面白いよ。で、ポアロの言葉から引用。

「“たいしたことじゃない――どうだっていい。つじつまが合わない。忘れてしまおう”。そんな考え方をしていたら、なにも見えない。どうだっていいことなど、なにひとつないんです」
些細なことも一つづつ潰していく地道な作業が探偵の仕事っていうわけだよね。

もう一つ。

エルキュール・ポアロ以外のだれもそんなことをしようなどと思わないでしょう! でも、それを責めるのは間違いです。一組の男女の幸福ほど大切なものはこの世にはありません」
これはポアロ自画自賛。いや、真実を知ることの為に、重要なことは最後の最後まで何一つ語らないポアロにとって、真犯人が上がった最後はこれくらいのことを言っても許されるかもしれないね。

さて、クリスティー文庫、次はいつになることやら。