アクロイド殺し/アガサ・クリスティー

アクロイド殺し』を読んだよ。殺人のトリックというより…。

引き続き「クリスティー文庫」。一応、これで一気買いした3冊は終了。この3冊の中では一番面白かったのが本書。登場人物も多いし、人名と地名の区別が付きにくいのは相変わらずだけど、それを超越する結末。途中までの小難しい推理は最後には吹っ飛んでしまい、どうでもよくなってしまうというか。

では、どのような吹っ飛びなのか。一つは真犯人。もう一つは小説としての作りの問題。前者はミステリーなので当然として、後者は小説そのものにも仕掛けを作ったという感じ。これは大胆な挑戦だよね。その仕掛けをここで書きたいけど書けないもどかしさ。あぁ。

なので、ちょっとだけ、本書に登場するユニークな人物について。キャロラインという女性がいい味を出している。噂話が好き、詮索好き、故に情報通。小さな情報から、自分の持っている全ての情報を総動員して、噂話を作り上げる。だから、

キャロラインのような人間が、パスポートの記載事項を考えだしたのにちがいないと思う。
と。いや、どこにもいそうなおばさんだけど…。

最後にポアロ

「事実を体系的に整理すれば、すべては単純になるのです。」
こちらは小さな事実を繋ぎ合わせて、体系化し単純化していくことで、真実を探っていく。真犯人を上げることではなく、真実を知ることがポアロの目的なんだよね。