最後の秘境 東京藝大/二宮敦人

最後の秘境 東京藝大: 天才たちのカオスな日常 (新潮文庫)』を読んだよ。これぞ、大学生の生き方。

単行本が出た当時から、この派手目の装丁が気になっていたけど、読書の対象とはならず、そのまま放置。でも、今回の文庫版が同じ装丁で出たこともあり、さっそく読みたい本リストにエントリされ、あっという間に入手、読了。

副題は「天才たちのカオスな日常」ということだけど、いや確かに普通の人がやらないことをしているんだけど、それだけで天才と言えるわけではなく、よくよく話を聞いてみると、普通の大学生だったりする。そう、まさに大学生活を謳歌している大学生なんじゃないかと思えてきた。

おっと、いきなり結論じみたことを書いてしまったけど、本書は一般には知られていない東京藝大の学生と彼らの生活をインタビューを通して、まとめたもの。その前に、筆者の妻が藝大生っていうところからスタートするんだけど。

そして、その“妻”だけではなく、どの学生たちも人として生きるということを真剣に考えている。いや、それは芸術という行為を通しての話で、直接的に考えているというわけではないけど。

では、藝大生たちの芸術に対する取り組みの源はどこにあるのか。予想できるとは思うけど、それは「好き」ということとしか言いようがない。だから、

誰かに認められるとか、誰かに勝つとか、そういう考えと離れたところに二人はいるようだ。
となったり、さらに、「好き」を超越して、
やりたいからやるのではなく、まるで体に刻み込まれてるように、例えば呼吸することを避けては通れないように、人はモノを作るのかもしれない。
ということになる。

そう、芸術作品を見たり聴いたりしていると、

あれだけの技法を発展させるためには、やりたい人がいた、くらいでは足りないのではないか。
という思いになるのは一緒。あぁ、でも、それは芸術に限らず、自然科学でも同じ。それが人間の本質のような気がするなぁ。

最後の秘境 東京藝大: 天才たちのカオスな日常 (新潮文庫)
二宮 敦人
新潮社 (2019-03-28)
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