自由と規律/池田潔

自由と規律―イギリスの学校生活 (岩波新書)』を読んだよ。メリハリ、効かせ過ぎ。

「イギリスの学校生活」という副題で、イギリスのパブリック・スクールであるリース校の話を中心にまとめたもの。もちろん、筆者はそのリース校の出身で、その後ケンブリッジ大学に進学しているということで、当地の教育事情はある程度掴んでいた上でのこのお話。

まずは、パブリック・スクールの紹介。パブリックというからには公立か?と思うけど、実は私立学校。どうして“パブリック”なのかも謎だし、だったら呼称を変えればと思うけど、それも変えないのがイギリスという国の頑なさ。様々な場面でその頑なさが表現されているんだけれども、楽しいことを言っていながら、目が泣いていたりするのがイギリス風。我慢ともちょっと違い、その精神を貫くといった感じかな。日本人にもそういう一面があるかもしれないね。騎士道と武士道というか…。それを筆者は、

結局は、『良かれ悪しかれ、わがイギリス』の思想であり、『ピース』を喫い出したら『光』の煙は決して咽喉に通らないという国民なのである。
と表現しているよ。なるほど。拘るというか、やっぱり頑なというか…。

そんなイギリス社会の中で、パブリック・スクールの教育はどのような精神をもって、行われているのか。

帰納し得るところは、パブリック・スクール、否、イギリスの社会そのものが容易に特殊な個性の発展を許さないという一事に外ならない。価値の基準は学生個人のもつ正邪の観念にはよらず、共同体自身がその利益より見てこれを是とするか非とするかによって決定される。
そうか、この精神が有名な「ノブレスオブリージュ」に繋がっていくのかな…。

そして、表題の「自由と規律」について。

彼等は、自由は規律をともない、そして自由を保証するものが勇気であることを知るのである。
と筆者。エリートだからこその教育なんだろうけど、厳しさが伝わってくるよね。でも、パブリック・スクールの食糧事情の厳しさはどうなんだろ。自分には耐えられそうにないわ…。

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