素数の音楽/マーカス・デュ・ソートイ

素数の音楽 (新潮文庫)』を読んだよ。永遠に解決しないのか…。

数学読み物と言えば、サイモン・シン青木薫のペアと決まっていた感があったけれども、このところ、別のペアが出してきているよね。新潮文庫も、Science & Historyというシリーズを出しているし。で、本書もこのシリーズの一冊。622ページもあるので、図書館の貸出期限までに読み切れるかどうか心配だったけど、なんとか読了。

本書のテーマは素数。シンプルなんだけど、逆にそれが人類の思考をも寄せ付けない謎を秘める深遠な数。それだけに人を惹きつけ、挑戦する数学者が後を絶たたない。それでも、頑なにその秘密を明かそうとしない。
そして、その素数の出現性について、ある種の法則を予想したリーマン。

ベルンハルト・リーマンが、素数の問題をまったく違う観点から眺めたのだ。するとリーマンには、素数の混沌とした状態を生み出しているある種のパターンが見えてきた。雑音としか思えない素数の上面を一枚はぐと、その下には、意表をつく繊細な調和があった。
と。これがリーマン予想の考え方。そう、本当のリーマン予想は数学的に分かりにくいから、知らなくてもいいかも。混沌から秩序を見出すというこの考え方こそが数学そのものの考え方であるわけだからね。

そして、リーマン予想をめぐる物語は世界中の数学者の物語として語られるよ。時には、コンピュータも数学者の一人であったりして…。
アッシ的に驚いたのは、リーマン予想が物理学と繋がっていたということ。しかも、それが量子学とカオス。うん、これこそが素数が代数の原子と言われる所以かもしれないね。

そして、リーマン予想のもっと凄いところ。筆者は、

リーマン予想の解決は、いわば地図に載っていない処女地のとば口であり、物事の始まりなのである。
と表現しているよ。未だに解かれていないのに、全ての原点になり得るなんて…。うん、物事の本質を突くって、そういうことなんだよね。アッシも本質を突けるようになりたいなぁ〜。
素数の音楽 (新潮文庫)
素数の音楽 (新潮文庫)マーカス デュ・ソートイ Marcus du Sautoy

新潮社 2013-09-28
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