箸の上げ下ろし/酒井順子

箸の上げ下ろし (新潮文庫)』を読んだよ。やっぱり視点は酒井順子

女流鉄オタから始まっているアッシの酒井本読書。軽妙なトークが好きで、鉄オタ以外の本も所望していたんだけれども、何故か自宅に一冊あった。それが本書。
もともとは、雑誌『きょうの料理』に四年間も連載されていたもの。だから、テーマは必然的に料理。料理そのものではないけれども、料理周辺もだいぶ含んでいるけれども。

それにしても、料理をテーマにこれだけのものを書けるとは、やっぱりプロの作家だなぁ〜とは思うけど、やっぱり視点や筆致は酒井先生流なことには変わりはなく、読んでいても鉄オタ本とリズムが変わらず、嬉しいよね。

では、酒井先生流な料理話ということで、幾つか紹介。
おにぎりのテーマでは、日常とは何かを問う。遠足でおにぎりを食べることは贅沢な行為だと思うと言い、その理由を、

握っていないご飯を食べるごく普通の生活の中で、非日常的な気分を味わうためにわざわざ遠出をし、非日常感を演出する食物でおむすびを食べる。そのウキウキ感は、盤石の日常がそこにあるからこそ、味わうことができるのですから。
と言っているよ。そう、食べるという行為にも日常と非日常があって、やっぱり日常というベースがあってこその非日常ということが、おにぎりを通しても分かるよね。

そして、最後のまとめは人と人との繋がり。

この本における様々な“食の隙間”シーンを、私は様々な人たちと共有しました。何に所属しているわけでもない私は、食べることによって世の中とつながっているのかもしれないなぁと、今となっては思う次第です。
と。何に所属しているわけではないと言ってはいるけど、本書に登場するのは、実家の話が比較的多く、酒井先生の立ち位置というか、執筆のテーマからは、やっぱり外れてはいないんだなぁ〜と、酒井先生を読み続けているアッシには嬉しい感じ。そういう意味で、期待は決して裏切られませんでした〜。
箸の上げ下ろし (新潮文庫)
箸の上げ下ろし (新潮文庫)酒井 順子

新潮社 2007-08-28
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