動物農場/ジョージ・オーウェル
『動物農場―おとぎばなし (岩波文庫)』を読んだよ。現実を想像できるおとぎばなし。
以前から気になっていた作家、ジョージ・オーウェル。とは言っても、アッシの注目は『1984年』。それでも、ジョージ・オーウェルの名前は頭にインプットされていたから、図書館で本書を発見した時は、即決で読むことを決断。久しぶりの外国人作家の小説だけど。
さて、本書。おとぎばなしという体裁は装っているけれども、中身は痛烈な旧ソビエト批判。スターリンという名前が出てこないだけで、話の中身はスターリン体制の実態を暴くというものだよ。
おとぎばなしは、人間に搾取されていた動物たちが、反乱を起こし、動物たちだけの、すべての動物たちが平等で平和に暮らせる農場を作るところから始まる。最初のうちは、すべての動物が理想に燃えて、一生懸命に働く。それでも、格差が発生し、頭のよい豚が指導的な立場になっていき…。
おとぎばなしとしては、その後、様々なエピソードにより、指導者の独裁への道を描き、終わる。その終わり方に、ついても現代社会に通じるヒントが隠されているんだけど、それは本書の解説で。
本書には、解説の他に付録が付いているよ。「出版の自由」と「ウクライナ語版のための序文」というジョージ・オーウェルによる二つの序文。人によっては、本文よりも面白いという評価もあるかも。前者は『動物農場』の出版までの経緯。そこでは、出版を何社ににも断れた事実が述べられているよ。さらには、明らかなソビエト批判がイギリス国内でなされず、逆にソビエト崇拝の風潮さえあることに、
大多数のインテリゲンチャがイギリスよりもソ連に愛国心をいだいており、そうした連中に迎合したいという、臆病な欲求によるものなのだ。イギリスのインテリゲンチャが臆病風に吹かれ、不正直であることの理由がたっぷりあることはわかっている。と筆者は一刀両断しているよ。
おとぎばなしは昔から現実の世界の鏡となってきたけれども、現代のおとぎばなしはリアルになってきているよね。それでも、はっきり書くよりもおとぎばなしにしたほうが、断然説得力があるんだよね。そういう狙いも、ジョージ・オーウェルにはあったんだろうね。
動物農場―おとぎばなし (岩波文庫) | |
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