データを紡いで社会につなぐ デジタルアーカイブのつくり方/渡邉英徳

データを紡いで社会につなぐ デジタルアーカイブのつくり方 (講談社現代新書)』を読んだよ。「情報アーキテクト」という仕事。

地図が好き。GoogleマップGoogleアースが出た時に、これは楽しいことに使えそうだなと思っていたけど、具体的には思いつかず。せいぜい、昔の写真を日付と場所で整理し、旅行日記的に使えるかなと考えていたくらい。でも、まさに本書に書かれていることがまさにそれ。もちろん、個人的な記録ではなく、もっと組織的、社会的な「作品」になっているんだけど。

まずは、データの視点から。数年前から「オープンデータ」という潮流が流れ始めているけれども、社会はすぐにビジネスチャンスとして目を向けがち。これに対し、

オープンデータ、オープンデータとお題目を唱えていてもダメです。具体的なゴールを示し、人々にオープンデータ化の意義を理解してもらうことが先決です。そのことによってはじめて社会が動きます。ビジネスチャンスはその後で自然に生まれてくるのではないでしょうか。
と筆者。そう、オープンデータは進めるべしだと思うけど、何のため?どう使うの?と具体例が多くあるといいよね。そんな事例が徐々に増えつつあるようには思えるのは嬉しいこと。「あっ、これは面白い」とワクワク感があるし。

そして、オープンデータやビッグデータGoogleアースにつなぐ。筆者は、

こうしたグーグルアースによる空間体験に、さらにユーザ独自のXMLデータを重ねあわせることによって、リアルな実感をともなったコンテンツを実現できるのです。
と言い、「仮想世界と実世界をつなぐ」ソフトウェアであると評価しているよ。そう、実際に筆者が携わった幾つかのプロジェクトを見れば、まさにそれが感じられるはず。

最後に、それらのプロジェクトを総括的に考えると、

多元的な資料を、公平な時空間メタデータにしたがって、グーグルアースというもうひとつの地球=「どこでもない場所」に保管する。このことによって、すべての資料に対して特定の重み付けをせず、ユーザに自由な解釈を許すかたちで提示できるのではないか。最近の僕はそんなことを考えています。
と筆者。そう、恣意的ではない資料として、有効活用できるよね。誰でも自由にどんな解釈でも。まさにオープンデータを超えたオープンサイエンスとして捉えていいかもしれないね。

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