ガラパゴス化する日本/吉川尚宏
『ガラパゴス化する日本 (講談社現代新書)』を読んだよ。グローバル化とは何ぞや。
猫も杓子もグローバル化という感じの今の世の中。グローバル化といえば、輸出を中心とする製造業の話だとばかり思っている人が多いと思うけど、世の中はガラッと変わってしまっているわけで…。
で、本書は「ガラパゴス化」している日本人、日本企業、日本政府がいったいどうしたら脱ガラパゴス化できるのかといったことを考察する。根底には、脱ガラパゴス化しないと日本の未来は無いよという考え方があるわけで、それはすでに直近の問題として浮上してきているからね。
本書の冒頭はガラパゴス化の事例。ガラパゴスケータイという言葉に代表されるように、その代表格は携帯電話。でも、それはハードウエアとしてのそれだけではなく、通信方式についてもガラパゴス化しているわけ。製造業以外では、会計基準、医療サービス、大学ランキングなどのサービス産業でもガラパゴス化が進行している事例を紹介しているよ。で、筆者は、モジュール化による仕事の進め方に日本人の気質があっていないのではないかと分析しているよ。
国民気質的にみても、日本人はモジュール化に向いていなかったのかもしれないが、世界の市場は時々刻々変化してきており、先端技術もすぐに陳腐化する時代である。水平分業、モジュール化を意識したビジネスモデル構築に取り掛かる必要があるのではないだろうか。と。
では、脱ガラパゴス化への道はあるのか。鎖国状態から開国するのみであるけれど、事例としては、海運業界のケースを挙げる。海運業界は、海外売上高比率も高く、経常利益の絶対額や経常利益率でも、上位に位置づけられている。この理由は、前述のモジュール化。そのモジュールはコンテナだということ。
海運業界の最大の教訓はコンテナ化の波をうまく乗り切り、活用したことである。すなわち、すり合わせ型からオープン・アーキテクチャ(設計仕様を公開し、元の開発者以外でも同様の製品を生産できるようにすること)への転換を図ったことである。そう、PCのDOS/V機(IBM PC/AT互換機)と同じ考え方。
最後はゲーム理論。ゲームに勝つには理論が必要ということで、
要するに、市場を支配するゲームのルールを、鳥瞰的に眺める。そして、ルール自体を動かす。これが、ディジタル化が進み、グローバル化な水平分業が進む中での企業の勝ちパターンである。と筆者。脱ガラパゴス化するには、これしかない。鎖国していては、こういう考えには向かわないだろうね。みんな一緒が好きな日本人だからね。
ということで、ガラパゴスというより、世界経済を知るきっかけとなる本でした〜。
ガラパゴス化する日本 (講談社現代新書) | |
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