生命のからくり/中屋敷均

生命のからくり (講談社現代新書)』を読んだよ。まさに精巧なからくり。

高校の生物で習ったDNAの複写の仕組み。あまりにも精巧な仕組みで、目から鱗というか、感動したと言っても過言ではなかったアッシ。たぶん、それが原点となって遺伝子とかダーウィンとかの関連本を読み続けてきたんだろうと思う。だから、本書が本屋の平台に並んだ時には、すぐに読みたい本リストに追加されたわけだけど。

本書は生命の仕組みをDNAの視点から探り出そうというもの。と、あまりにも簡単に言ってしまったけど、前述の通り、その仕組みは複雑で精巧。こんなことができること自体が奇跡に近いと思ってしまうんだけど。

冒頭は生命とは何かという問いから始まる。人間様の観点から見れば簡単そうな問いだけど、ウィルスレベルまでいくとそうは問屋が卸さない。微妙な生命がこの世界には多数存在するわけ。だから、筆者は生命を「一つの現象」として捉えているよ。

そして、何度も登場するのが「情報の保存」と「情報の変革」という二つのキーワード。筆者は生命の根源的な矛盾と言っているけれども、それは生き残るために必要な行為だよね。これを矛盾を「からくり」で実現するのがDNAという物質。詳細は本書に譲るけど、「元本保証された多様性の創出」とは言い得て妙。

最後に生命とは何か。

より広く考えれば、「生命」という現象にとっては、個体とは何か、個体の独立とは何か、あるいは種とは何か、もっと言えば種が絶滅したのか存続しているのかといったことさえ、おそらく「どうでも良いこと」であり、「その現象の継続」、すなわち「情報の保存」と「情報の変革」を繰り返し、新たな有用情報を蓄積していく現象、それがいかなる環境下においても継続していくことが唯一大切なのではないだろうか。
と筆者。うん、これってまさに“自動機械=オートマタ”の考え方。納得いかないかもしれないけど、これだからこそ、生命が生まれたし存続しているんだと思う。恣意的な行為では絶対にあり得ないからね。

ここでは省略したけれども、DNAの動きも知ってみると不思議且つ論理的。あっ、この言い方も根源的な矛盾かな。いや、まさにDNAらしくていいか。

生命のからくり (講談社現代新書)
生命のからくり (講談社現代新書)中屋敷

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