なぜ「大学は出ておきなさい」と言われるのか

『なぜ「大学は出ておきなさい」と言われるのか』を読んだよ。なぜって言われても、そんなこと考えたこともなかったけど…。

読者のターゲットは高校生。それも進学先が決まって、さてこれから大学生活をどのように過ごそうかと考えている高校生に向けて、将来への考え方を指南する本って感じかな。

さて、冒頭の「はじめに」では、「なりたいもの」と「なれるもの」へのブレイクダウンの話が面白いよ。子供の頃は誰でもあこがれの職業があって、将来の夢を見る。中学、高校と進み、世の中のこと、自分のことが分かってくるとそろそろ軌道修正をし始めるよね。それがまさに「なりたいもの」と「なれるもの」へのブレイクダウン。これがいけないということではなくて、筆者曰く必要不可欠な作業だとか。

「なりたいもの」にどう接近するか、あるいは「なれるもの」をどう「なってよかったもの」にするかという作業です。
ともう少し厳密に説明しているよ。
うん、これはすごくよく分かる。大学に入ったとき、何になりたいなんて夢も希望も無かったけれども、結局は「なってよかった」職業についていたアッシ。結果論かもしれないけど。

「何のために勉強するのか」の章では、人的資本たる自分の価値を大学4年間で減らすことのないようにと忠告。この4年間は「投資」の時期であり、お金と時間を「消費」するだけにならないようにとも言っているよ。
その他には、「勉強できる贅沢さ」を享受せよと。これは、社会人になってからは誰もが実感するんだけれどもね。

そして、大学でも学び方。どんな科目でも就職活動に向けて活用できると断言し、「正課を骨までしゃぶりつくす」ことをすすめているよ。例として、JR東日本エキナカをプロデュースした人の話。文系だけどデータを集計する仕事から仕事の面白さを発見した。数字に怖気づく人では無理だったわけ。詳しくは知らなくても、齧ったことがあることは意外に役に立つのだと。

全体を通して、筆者が言っているのは、「近視眼的になるな」ということ。大学の選び方、学生生活の過ごし方、就職先の選び方、どれをとっても、このアドバイスは通用する。「下を見るな、ちょっと先を見よ。」と、見通しがよくなる事は大切だよね。

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