学び続ける力/池上彰
『学び続ける力 (講談社現代新書)』を読んだよ。池上版教養論。
最近、教養が軽視されている傾向にあるよね。それは、大学への進学に際し、理高文低の傾向ではっきりと読み取れる。つまりは、スキルを身につけて、社会に出る際に実践力を付けて、就職に有利なようにするため。ということは、大学に行くのは就職するためなのか?なんていう議論にも発展するんだけど。
でも、アッシ的には教養は大事だし、いつでも教養は身につけておきたいと思うわけ。理系出身だから、余計にそう思うのかな。
おっと、話が逸れた。本書は、池上彰氏が教養について考える本。
冒頭は、筆者がNHKを辞めた時期のこと。いわゆる充電ということで、いろいろな大学の社会人講座に通う。そこでは、熱心に授業を受ける人たちの姿があるわけ。授業をする大学教授も楽しそうだと。
そして、学ぶということに対しては、
私たちが知りたい、学びたいと思っている森羅万象は、結局のところ、「人間とは何か」という究極の疑問に結びつく気もします。と言う。そう、アッシ的には激しく同意。人間のすべての行為は最後はこれに行き着くんだろうなぁ〜って思っていたから。
そして、東京工業大学の教員になる池上氏。リベラルアーツセンターという組織の教員だから、理系の学生に対して、教養教育を教えるわけ。でも、それは知識ということではなくて、考え方の伝授。文系的な発想法を知っておくことは、理系でも有利だからね。例えば、
私が求めたのは、「そういえば、何でこうなのだろう?」と。自分たちを見つめること、すなわち、「自分たちの世代を相対化して見る」ことでした。とか、
ここで学生に考えてもらいたかったのは、理念の問題です。とか。理系の人間は、課題を解決するのは得意だけど、理想の姿から物事を考えることに慣れていないからかもね。
最後に大学における教養教育について。アメリカの三つの大学の事例を紹介しているよ。
この三つの教養教育に共通した考え方は、まさに「すぐ役に立つことは、すぐ役に立たなくなる」という考え方でした。とりわけウェルズリーカレッジでは、「社会に出て役に立ちすぎることは敢えて教えない」という徹底した姿勢でした。ということ。そして、一つの枠組みから自由になることこそが、教養であるとも言っているよ。
変化の激しい現代において、スキルはすぐに陳腐化するもの。だからこそ、教養というものがそのベースとして重要になってきているんだよね。教養はいつまでも学び続ける必要がありそうです〜。
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