心の力/姜尚中
『心の力 (集英社新書)』を読んだよ。本当に現代は生きにくい世の中なのか…。
100年ほど前の小説である夏目漱石の『こころ』とトーマス・マンの『魔の山』を題材に、表題の「心の力」を考えてみようというもの。筆者の姜尚中氏は、以前は早稲田大学の教授だと思っていたんだけど、その後は東京大学に移り、今は聖学院大学の学長。そこへ移った理由も、本書の主題である「心の力」に関係があるんだよね。
では、先の二つの小説をどのように題材にするか。それは、『こころ』の主人公「私」には河出育郎という仮名を与え、『魔の山』のハンス・カストルプと、その後に交流するというストーリー。つまり、『続・こころ』。当然、二人は齢を重ねているわけだし、時代もすっかり変わっている。そんな状況で、現代と過去を巡って、二人の思いは如何に…。
さて、心の力とは何なのか?そのヒントの一つが、代替案(オルタナティブ)ということ。筆者曰く、
代替案を考えられない心は幅のない心であり、体力のない心だと思います。言い換えれば、心の豊かさとは、究極のところ複数の選択肢を考えられる柔軟性があるということなのです。と。そう、画一化された現代には、もう一つの選択肢があることを忘れがち。それを想像できるかって、大きな違いになるよね。
最後に、生きづらい世の中でどう生きるかという問いについて、筆者の本書での答えは、
まじめであるから悩み、その中で悩む力が養われていくのです。そしてこの悩む力こそ、心の力の源泉なのです。ということ。要は、まじめに悩もう!と言っているんだよね。うん、アッシもそれでいいんだと思う。若い頃は徹底的に悩むべし。というアッシはどの位悩んだだろうか…。記憶にないけど。
心の力 (集英社新書) | |
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