時刻表2万キロ/宮脇俊三

時刻表2万キロ (河出文庫)』を読んだよ。時刻表は楽しい!!

中学の時にハマった時刻表。専ら眺めるだけだったけど、関連本から知った東海道本線の大垣行き夜行鈍行にはよく乗ったっけ。今は「ムーンライトながら」だったっけかな?その流れでよく読んでいたのが、今回の宮脇俊三氏の著作群。だから、再読ってことになる。

で、本書は宮脇氏のデビュー作。作家専属になる前だから、某出版社の編集者の仕事の傍らで、全国国鉄を乗りまくり、全線完乗することになる記録の本。とは言え、当時の国鉄は約20,800kmも路線があったから、それを記録にするとなると膨大な分量になる。宮脇氏自身も全線に乗ろうなどと考えて乗っていたわけではなく、90%を乗ったあたりで、全線を意識し始める。そして、その目的のために乗り始めたのが昭和50年9月。そして、全線完乗したのが、昭和52年5月。その2年間の記録が本書っていうわけ。

その記録って簡単に言ってしまったけれども、それは闘いだと思う。実際に筆者は、

国鉄全線完乗はあなたが考えるほど簡単なことではないのである、あなたはよく大阪へ行かれるが尼崎港という国鉄の駅があることを知っているか、そこへの線には一日二本しか列車が走っていない、自分もまだ乗っていないが、などと説明や弁明をしていると、だんだん自己主張のごとくなってくる。
と周囲の人々への説明には苦慮している(理解してもらえないという諦めの境地もあるような…)し、
私だって東京や自分の家にいるのがいやで出歩いているわけではないし、日曜日ぐらいは家でゆっくりしたい。
という泣き言や、
そこまでゆくとあまりかけはなれて随いてゆけないけれど、趣味昂進の極限を垣間見る思いがして粛然とさせるものがある。私のやっていることも相当な阿呆と自覚しているけれど、上はあるものだ。
という趣味の世界の奥深さまで語る。

いや、いささか否定的なことを書いてしまったかもしれないけど、これが本になり、何十年も経っても、こうやって読まれ続けるということは、それだけの楽しみというか評価があってのことなんだよね。自分だって、お金と時間があれば、挑戦しているかもしれないからね。

時刻表2万キロ (河出文庫)
時刻表2万キロ (河出文庫)宮脇俊三

河出書房新社 1980-06-04
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