父・宮脇俊三への旅/宮脇灯子

父・宮脇俊三への旅 (角川文庫)』を読んだよ。作家もひとりの父親の立場になれば、普通の人間。

宮脇俊三と言えば、かれこれ30年以上前、アッシが必死になって読み漁っていた。そう、時刻表マニア。アッシの場合、実際の旅に出ることもなく、だから鉄道マニアというより、とにかく時刻表の数字を追って楽しんでいたわけ。
そして、宮脇俊三氏の旅の奇跡を時刻表で再現し、旅への思いを馳せていたんだよなぁ〜。

で、本書の筆者は、その宮脇俊三氏の長女・灯子氏。
灯子氏自身が旅をするわけではなく、娘から見た宮脇俊三氏の思い出の数々を綴っているよ。
そんな思い出話を幾つか紹介。

ひとり旅の多かった俊三氏。それでも家庭を持てば家族旅行にも行ったようだ。灯子氏が大学生の時、立山黒部アルペンルートに家族旅行したが、灯子氏は中学の林間学校で来たことがあったということを俊三氏に告げる。俊三氏は不愉快な顔をしたという。

「一般に女の旅は、どこからどう通ったかというルートには関心がなく、道中はおしゃべりや食べることに夢中である。自分感動した風景は心に留めてはいるが、必ずしも場所や地名まで覚えているとは限らない。女性の旅は『線』ではなく『点』である」これが、父が常々、書いたり言ったりしていたことである。
と、俊三氏の女性の旅に対する見解をその娘が解説するし、自分自身もまさにそうであると灯子氏。

俊三氏の意外な趣味も明らかに。それは、モーツァルト鑑賞。
そして、それは家族に押し付けるものではなく、自分だけでひっそり聞くものであったらしい。

ひょっとしてモーツァルト鑑賞は、父にとって野球や相撲に比べてずっと神聖なものだたのではないか。だからひとり旅と同じく、家族に立ち入らせたくなかったのかもしれない。
と灯子氏。

その他、宮脇俊三氏その人となりを知るには絶品の一冊。人間って、当然表の顔と裏の顔があるけどれども、裏の顔(って言うと何だか悪って感じがするけど、当然そうではなく、素の顔って言ったほうがいいかな…。)はなかなか知ることはできないよね。でも、本書では両面を知ることで、人間・宮脇俊三を知ることができた感じ。
また、宮脇俊三氏の作品を読んでみようかなぁ〜。

父・宮脇俊三への旅 (角川文庫)
父・宮脇俊三への旅 (角川文庫)宮脇 灯子

角川学芸出版 2010-02-25
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