動的平衡3/福岡伸一

動的平衡3 チャンスは準備された心にのみ降り立つ』を読んだよ。生物にとっての時間という概念。

福岡ハカセの「動的平衡」シリーズ(特段のシリーズになっているわけではないけれども。)の3冊目。今回は月刊誌ソトコトに連載したものをまとめたもの。基本的には、ハカセの提唱する動的平衡の概念を色々な事例を紹介しながら、分かりやすく説明したものという感じ。あっ、それっていつもの感じ…と同じだね。

でも、ハカセの話が面白いのは何故だろう。そのヒントになるのが時間軸という概念。

インターネットの情報にないものは何か。それは、答えに到達するまでの時間の経緯だ。そこには時間軸が決定的に欠けている。私は、きちんとプロセスをたどって答えに到達しないと、そこに至る喜びが味わえないのはもちろん、その答えを本当に理解したことにならないと思う。
ハカセ。そう、ハカセの話には時間軸があり、それが物語になるから、面白いのだと思う。そう、自分が科学史が好きなのは、この物語性のせいなのかもしれないね。

そして、この動的平衡という概念は、科学だけではなく、世の中の仕組みにも重ね合わせることができるよ。

生命の動的平衡を支えるミクロな構成要素(細胞や分子)の融通無碍な動態は、たとえば商社という組織を支える構成メンバーのあり方に重ね合わせることができ、その対比から学ぶべきことが見出せるはずだ。なぜなら商社もまたダイナミックな生命体、すなわち動的平衡に他ならないからである。
ということ。うん、確かにそうだけど、動的平衡を起点に考えればそういうことになる。でも、世の中の仕組みが時間と共に変化することを前提として動いていると考えれば…。やっぱり、時間という概念は重要だ。

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