百億の星と千億の生命/カール・セーガン

百億の星と千億の生命 (新潮文庫)』を読んだよ。この度の震災と重ね合わせると…。

アメリカの科学者カール・セーガン氏による科学読み物。主に、タイトルから想像できるように、宇宙、地球、生命、人類をテーマにしたものだよ。
科学読み物と言っても、単なる理科のお勉強だけではなく、人間を取り巻くそれだから、政治とか宗教とかが絡んでくるんだけど。いや、それが絡んでこないと人類にとって科学とは何かを考えた時に、答えが出せないんだよね。だからこそ、カール・セーガンがそれをテーマにこのような本を出したんだろうね。

さて、どんな内容か。
冒頭は単位の問題。宇宙を語る際に使われる単位は日常のそれとはまさに桁が違う。だから、指数という概念が登場するわけで、その辺りの考え方が詳しく説明しているよ。
そして、宇宙そのものの話。太陽系、銀河、恒星、太陽系外惑星の話など、多少は宇宙の基礎知識が必要にはなるけれども、話の中身は面白いよ。

中盤からは地球の環境問題。
地球温暖化オゾン層の破壊、化石燃料代替エネルギー源など、まさに今日本で問われていることそのものがテーマになっているよ。カール・セーガン氏は、それぞれの問題について個別に考えを述べてはいるけれども、通底する考え方は「人類として対応すべし。」という点。

我々は地球の健康状態のレベルを上げ、世界の状態を調査・理解するための科学をますます発展させなければならない。そして我々は自分達の国や世代の観点からだけではなく(特定の産業の利益などはほとんど論外だろう)、傷つきやすい地球という惑星全体、そして来るべき子供達の世代の観点から考え、行動しなくてはならない時期に来ているのだ。
この引用と同じような内容が言い方を変えてあちこちに登場するよ。これ以外にも、核兵器の削減についても、アメリカとロシアの問題ではなく、人類の問題として考えるべきだということも、述べているよ。

で、冒頭の言葉に戻ってくる…。
原子力発電所が停止すると、火力発電所をフル稼働させなくてはならなくなる。化石燃料を燃やし、二酸化炭素を排出する。何のための発電なんだか、結局は分からなくなるような…。
人類の叡智って、何のためにあるんだろ。そんな素朴な疑問が浮かぶ一冊でした〜。

百億の星と千億の生命 (新潮文庫)
百億の星と千億の生命 (新潮文庫)カール セーガン Carl Edward Sagan

新潮社 2008-07-29
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