「大発見」の思考法/山中伸弥,益川敏英
『「大発見」の思考法 iPS細胞 vs. 素粒子 (文春新書)』を読んだよ。そうだったのか、iPS細胞。
副題は「iPS細胞vs.素粒子」ということで、登場人物は山中伸弥氏と益川敏英氏。ご存知の通り、お二人ともノーベル賞受賞者。つまりは世紀の大発見を成し遂げた二人はどんなことを考えているのだろうか…ということを二人の対談を通して知ろうという本。
素粒子理論は一般には分かりにくいし、説明がしにくい部分があるので、どちらかと言うと、益川先生がインタビュアーになって、山中先生が答える感じ。でも、途中で益川先生が雄弁になることも多々あり。そして、その雄弁の内容が面白い。ユニークというか、科学者らしいというか。科学者度は益川先生の方がかなり上かな。
では、ふたりの話はどんな内容だったのだろうか。まずは、山中先生。一番に興味があったiPS細胞とはどのような細胞なのかという点について山中先生。
つまり、一度分化した体細胞が時間をさかのぼり、未分化の状態に戻れることがわかった。このように未分化の状態に戻すことを、「初期化」とか「リプログラミング」と言っています。私達が作り出したiPS細胞は、一度分化した体細胞を、未分化の状態に戻した細胞なのです。と説明しているよ。なるほど、よく分かった。一旦、赤ちゃんの細胞に戻るから、また何にでもなれるってことなんだね。ほ〜っ。
そして、益川先生。独自の論調が面白いんだけど、その一つ、国語力について。
そう、化学の基本は国語ですよ。何にしてもすべて文章の言葉から入ってくる。読んでその世界が頭に思い浮かべられるかどうか。その力があれば、理解していける。そのあとは、吸収した知識を頭のなかで思い描いて発展させていけるかどうか。と力説。山中先生も同意見。理科系の人たちで、この主張をする人は多いよね。藤原センセーとかも。あっ、斎藤センセーもそうか。
最後に山中先生のお言葉。
科学者にとって、「神」の英語訳は「ゴッド」じゃなくて、「ネイチャー」なんですね。とか、
その点、実際にやってみて思うのは、自然の方がはるかに独創的だということです。人間がまったく思いもかけなかった「ヘンな顔」を、自然は見せてくれる。と。この最後の「ヘンな顔」という表現がいいよね。科学者って、意外にお茶目なんだなぁ~。
「大発見」の思考法 iPS細胞 vs. 素粒子 (文春新書)
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