生物学個人授業

『生物学個人授業』を読んだよ。疑問にも思わなかったことが新たな疑問に…。

発生生物学の岡田節人先生の講義をイラストレータ南伸坊氏が聞く。それを南氏なりの解釈でまとめる。で、先生の一言アドバイスで締める。その他に補講付き。

先生の講義は、三つの大事な言葉を覚えることから。細胞、DNA、細胞核。そして、もう一つ大事なこと。それは「生命は絶えたことがない!」と。細胞には2種類あって、それは体細胞と生殖細胞。体細胞は一代限り。でも、生殖細胞はいつまでも絶えることがないと云う。だから、遺伝子治療とは、生殖細胞に影響がないように、体細胞だけに操作を施すことなんだと。

細胞の話をきっかけに死の話、ガンの話と続く。イモリはガンでは死なないらしいよ。ガンには掛かるけれども自分で治してしまっていると。

生物学的にいうとガンは大したことない。というのは、だから気にするなということではないんですね、ガンというものを、人間の側からだけではないアングルから見てみる、というところに意味がある、と私は思います。
と岡田先生。そして、この考え方がガン治療に応用されているようだよ。

突然だけど、オタマジャクシはカエルの子だよね。これは生物学的には「分化」というよ。この分化を「仮の姿」だと岡田先生。卵の時と本質的に変わっていないから。

で、その卵の時と何が変わっていないのか。それはDNA。細胞はDNAを複写しているだけなのに、どうして分化が起こるのか。そして、卵1個から、どうして脳の細胞や胃の細胞が出来るのか?あまりにも不思議。
これは、DNAが命令だけ持っていることに由来するからだと。そして、すべての細胞は、無駄だと分かっているのに、自分が係わる以外のDNAを持ち続けている。仕組み的には、単なる複写なんだから、そうだよね。これを、岡田先生は「宝の持ち腐れ作戦」と名付ける。トカゲの尻尾が再生するのも、この「宝の持ち腐れ作戦」によるものだね。

あ〜、生物とはなんとも不思議なものなんだろ。前回紹介の『解剖男』も然り。人類の探究心がいつまでも続くのはこの不思議さ故なんだろうね。

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