ブレイクスルーの科学者たち/竹内薫

ブレイクスルーの科学者たち (PHP新書)』を読んだよ。異分野をつなぐ力。

たまには理系本を読まないと…と思ったのかどうかは不明だけど、ずっと読みたい本リストに積まれていた本書。著者の竹内薫氏は多作なので、読んでも読んでも追いつく気配なし。それでも、手軽に読める理系本だから、ついつい手に取ってしまうんだよね。そんな1冊の本書は、2010年の発刊ですでに9年も経っており、内容がかなり古くなっている点は否めず。いや、それだけ科学の世界の進歩が早いということなんだよね。

ブレイクスルーの原動力とは何だろうかという観点で、それぞれの科学者の成果を見ていくわけだけど、そこに通底する概念は「異分野をつなぐ力」。ほとんどの科学者は異分野の概念を取り入れたり、ヒントにしたり、融合させてみたり。

では、どんな科学者達が登場するのか。
冒頭は、ノーベル賞を受賞する前の山中伸弥氏。もっとも、ノーベル賞に一番近い科学者として紹介されているけれども。ここでの「異分野をつなぐ力」はコンピュータ。

そもそもコンピュータのプログラミングに明るくなければ、計算によって数万の因子をたった四つに絞ろうなどとは考えない。異分野をつなぐ力は、発想の幅を広げ、誰も気づかない可能性を見せてくれる。
ということ。確かに、遺伝子とコンピュータって相性は良さそうだよね。

さらに、粘菌研究の中垣俊之氏。

だが、中垣の研究には、実際に生きている粘菌のほかに、数学という方法論が欠かせない。生物学と数学をつなぐことにより、われわれは、粘菌の「知性」を自動車道路や鉄道のネットワークに活かして応用することができる。これは、一つの分野に特化していては、決してできないことなのだ。
と生物学と数学をつなぐ。数学は考え方の基盤でもあるってことなんだよね。

紹介の最後は、火山研究の田中宏幸氏。素粒子物理学と地球物理学をつなぐ。そして、「異分野をつなぐ力」とは、

異分野をつなぐ力は、1+1を2以上にする力だ。通常よりも長い修業期間を必要とするが、複数の分野をマスターした暁には、倍以上の威力を発揮することが可能になる。その意味で、若いころに複数の専門分野をきわめることは、将来のブレイクスルーの確率を飛躍的に高めるに違いない。
と筆者。うん、自分もそう思う。ただ、「経験する」ではなく、「きわめる」ことが重要だろうね。のんべんだらりではなく、課題意識を持って。
そうか、まだ遅くはない。今までの経験を組み合わせてみよう。

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