ルポ 貧困大国アメリカ/堤未果

ルポ 貧困大国アメリカ (岩波新書)』を読んだよ。こんなことになっていたとは。

某所で知った大学生のためのオススメ本の1冊。このところ、柔らか系の読書が多かったので、少しは社会のことも知っておかないと…と手に取ったけど、あまりに知らなすぎたことに愕然。2008年の発刊だから、かれこれ10年ほど前の話だけれども、この流れが現代社会を形作っているんだろうし、今もそれほど変わっているわけではなく、逆に10年後の日本(今現在)が影響を受けているのではないかと思われるくらい。

では、本書に登場する貧困とはどのような現状を言うのか。
まずは、肥満。貧困ゆえに、ジャンクフードで食事を済ます。バランスより量で賄うことによる必然の結果。さらには、ハリケーンカトリーナによる被災者の国内難民化。医療費、保険料の高騰による疾病の放置と蔓延。そして、就職難とワーキングプア

では、その原因は何か?きっかけは2001.9.11のテロ事件。それからアメリカはあらゆく業態に市場原理を取り入れ、新自由主義を徹底化させていく。すなわち、自己責任のもと、勝ち組と負け組が生まれ、格差が拡大していくという必然の流れ。市場原理は民営化の流れを生み、信じられないことに戦争にまで業務委託事業会社が参画するようになる。戦力が一定の企業から供給されるようになってくる。企業だからコストはシビア。低賃金で雇われていく若者たち。

バタバタといろいろなことを書いてしまったけれども、まとめてみると筆者の言葉から拾うと、

だが、実はすべてを変えたのはテロそのものではなく、「テロとの戦い」というキーワードのもとに一気に推し進められた「新自由主義政策」の方だった。何故ならあの言葉がメディアに現れてから、瞬く間に国民の個人情報は政府に握られ、いのちや安全、国民の暮らしに関わる国の中枢機能は民営化され、戦争に負け転がり落ちていった者たちを守るはずの社会保障費は削減されていったのだから。
ということ。新自由主義は、財政再建という大義名分のもとに推し進められた国が多いと思うけど、民営化の流れは一旦流れ始めると止まらないということも認識する必要があるよね。これからの日本を考える先行事例として捉えたいね。いい意味でも悪い意味でも。
そして、その貧困の反動として、トランプ政権が成立したとも考えられることも。

ルポ 貧困大国アメリカ (岩波新書)
堤 未果
岩波書店
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