空気と戦争/猪瀬直樹

空気と戦争 (文春新書)』を読んだよ。2冊の本のまとめだけど。

東京オリンピックが決まって、ノリに乗っている感じの東京都知事猪瀬直樹氏。と思ったら、最近の話題はコケ気味…。それはともかく、本書の内容はアッシ的には何となく読めていたんだけど、読んでみるとちょっとヨミが外れたかも。いい方に外れたならいいんだけど、今回は悪い方に…。

本書の背景としては、猪瀬氏が講義する東京工業大学での「日本の近代」という授業をまとめたもの。猪瀬氏としては、

本書のテーマは、戦前と戦後はむしろ連続していますよ、という視点で、これからの日本のあり方を考える、というものだ。戦前は軍国主義、戦後は平和主義という教科書的な図式では現在の自分たちの姿を見つめられない。
と言っているので、これがまさに講義のテーマになっているよ。
で、その講義のネタのひとつになっているのが、『昭和16年夏の敗戦』という猪瀬氏の著作本。第1章から第3章までは、この『昭和16年夏の敗戦』をネタに、その際の取材で得た情報を付加していく。だから、殆ど『昭和16年夏の敗戦』を読んでいるのと同じ感じ。多分、『昭和16年夏の敗戦』を読んだことのある人は同じ印象なんだろうと思うよ。

最終の第4章は日本道路公団との民営化の話で、建設省官僚との戦いの話。ネタ本は『道路の権力』と『道路の決着』の2冊。アッシはどちらも未読。

で、二つの話の共通点は数字を徹底的に分析しないと空気に呑まれてしまうということ。

数字を誤魔化すと国が滅びる、と僕は信じて疑わない。
と猪瀬氏。これはまさに、官僚と戦う姿勢だよね。

最後に、東工大での講義の目的について猪瀬氏は、

日本にはそういうボトムアップなところがあって、戦前でいえば高橋中尉や模擬内閣もちょうどその年代に国の運命を左右する場に立った。だからこそ、いまのうちに「空気」に捉われない「歴史意識」を、「日本の近代」の講義を通して、高橋中尉や模擬内閣の苦悩を通して、磨いてほしかった。
と言う。そう、30代という年代は、世の中のことが分かって、さらに仕事への情熱が増す時でもあるよね。若い人へのメッセージとしては、いい講義だったんだろうなぁ〜。
空気と戦争 (文春新書)
空気と戦争 (文春新書)猪瀬 直樹

文藝春秋 2007-07-18
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