統計学が日本を救う/西内啓

統計学が日本を救う - 少子高齢化、貧困、経済成長 (中公新書ラクレ)』を読んだよ。説得力有り。

筆者は『統計学が最強の学問である』シリーズの西内啓氏。西内氏の著作はほとんどが「現実的な社会を統計学的に見てみたら」という視点だから、理解もしやすいし、納得もしやすいよね。

さて、本書。「日本を救う」とあるけれども何を救うのか。それが、副題にある「少子高齢化、貧困、経済成長」の3点。この3つの課題をネタに統計学的を手法として分析したら、どのような解決策があるのかを述べているよ。

まずは、少子化統計学的に面白かったのは、平均寿命の延びという話題。

この100年ほどで日本人の平均寿命がこれだけ延びたのは、実は高齢者になってから長生きをするようになった、ということより、乳児の間に亡くなる割合が劇的に減少したことの影響がずっと大きいのである。
と結論づけているよ。そう、ちょっと一般の感覚とは違うかもしれないけど、平均余命の考え方を含め、データに語らせるとこの帰結は必然なんだよね。

貧困についてはどう考えるか。歴史的なアプローチから、

ではこの連鎖をどう断ち切るか。チャドウィックがたどり着いた「原因へアプローチする」という答えはシンプルだが、それまで誰もこの可能性を真面目に検討してこなかった。
と言っているよ。そう、徹底的に根本を探るということ。「原因の原因」を探ること。これがかなり大事な考え方。ここまで探らないと対処療法になりがちなのが現実だよね。

最後は経済成長。

統計やデータに基づく実証研究から、単純な人口増は経済成長と関係しないどころか、弱いながらも「阻害要因」の可能性があると示されているからである。つまり「人口が減少するから経済成長しない」という考え方自体、いまや多くの学者によって否定されているのである。
と、これは意外な展開。そして、経済成長の為の有効なのは「教育」への投資だとも。つまりは、少ない人口でも効果のある教育を行えば経済成長するということ。あぁ、新しい視点。
これもデータ分析のおかげ。やっぱり、筆者は『統計学が最強の学問である』なんだなぁ〜。
統計学が日本を救う - 少子高齢化、貧困、経済成長 (中公新書ラクレ)
統計学が日本を救う - 少子高齢化、貧困、経済成長 (中公新書ラクレ)西内 啓

中央公論新社 2016-11-08
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