文学部唯野教授/筒井康隆
『文学部唯野教授 (岩波現代文庫―文芸)』を読んだよ。難しい「文芸批評論」。
かれこれ20年以上も前になるだろうけど、単行本で読んだことがある本書。その時は、単にギョーカイ的な興味からの読書だったような。とは言え、今回がそれと違うかと言えば、そうでもなくて、やっぱりギョーカイ的な興味からなわけ。後は、昔読んだ本の懐かしさとか、筆者への興味とか。
ギョーカイ的な興味としては、この20年間で、このギョーカイがどう変わったかを確認したいというものあったけど、結果を言えば、体して変わっていないと言えるかも。それでいいのか、このギョーカイ。
さて、本書のストーリーの紹介は省略するけれども、ユニークなのが各章の構成。章というより講となっていて、講がひとつの授業の単位。各講には筆者の授業内容が書かれている。これが実に興味深い内容で、本当に大学の授業を受けているかのよう。授業科目は「文芸批評論」。印象批評から始まって、新批評、ロシア・フォルマリズム、現象学、解釈学、受容理論、記号論、構造主義、ポスト構造主義と難しそうな話がズラリ。確かに、後になるほど話が難しくなるんだけど。っていうか、科学的手法による文芸批評論に変移するという感じかな。こういうの、アッシ的には好きなんだけど。
だから、読後の印象は20年前と全く違うもの。ギョーカイの小説というより、文芸批評をちゃっかり学ぼうという本という感じ。授業内容を展開するという構成だったということも記憶に無かったし。
おっと、本書の中に出てくる気に入ったセリフも書こうかと思っていたけど、字数切れ。それに、そのことは本書の本筋ではないのでは…と思えてきてしまったので。
ということで、文芸批評の歴史を学びたい人には、絶対オススメの本書でした〜。
文学部唯野教授 (岩波現代文庫―文芸) | |
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