司馬遼太郎の「かたち」/関川夏央

司馬遼太郎の「かたち」―「この国のかたち」の十年 (文春文庫)』を読んだよ。思いの丈をぶつける。

司馬遼太郎『この国のかたち』を読んだきっかけは何だったんだろう。今になってはもう思い出す必要もないのだけれども、何となく不思議な気分。その『この国のかたち』を巡る物語を作家の関川夏央がまとめたものが本書。もしかしたら、本書を先に見つけたのがきっかけで『この国のかたち』を読み始めたのかもしれないなぁ〜。全六巻を読み切ったのも、本書を読みたいというモチベーションがあったからこそかもしれないな。

内容としては、司馬遼太郎『この国のかたち』の原稿と共に文藝春秋の編集長に送った手紙を紹介しながら、その時の司馬遼太郎の思いを深く掘り下げていくというもの。単に原稿一つの問題ではなく、その時の社会情勢や司馬遼太郎の体調など、諸々の事情が一つの原稿に影響を与えて書かれているというわけ。

では、司馬遼太郎の思いとはどんなものだったのか。それは、

小説を書かなくなって以来、司馬遼太郎の「憂国」の思いはことさら深まっていた。時事的事象と直接わたりあわず、しかし歴史の奥深いところから知恵を拾い集めてこの世の信頼するに足る「普通のひとびと」すなわち読者に、歴史を眺める眼で現在を眺め考えたことをつたえたいという意志はますます固くなっていたように思われる。
という固い思い。本人はさきの手紙に「こけの一念」という言葉で表現しているよ。

そして、筆者は編集長宛の手紙の意味を、

司馬遼太郎は、おそらく、仕事をして過熱した頭脳をクールダウンするために手紙を書いてきたのである。あるいは、別の仕事にとりかかる前の頭脳の切り替えに、手紙は妥当な役割を果たしたのである。それはある意味では、作家にとってどうしても必要な作業だったのである。
と分析しているよ。クルーダウン説は確かに。でも、もうひとつ付け加えるとしたら、自分の考えの整理もあったのかもしれないね。
司馬遼太郎の小説、いつかは読んでみたいなぁ〜。
司馬遼太郎の「かたち」―「この国のかたち」の十年 (文春文庫)
司馬遼太郎の「かたち」―「この国のかたち」の十年 (文春文庫)関川 夏央

文藝春秋 2003-02
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