里山資本主義/藻谷浩介,NHK広島取材班

里山資本主義 日本経済は「安心の原理」で動く (角川oneテーマ21)』を読んだよ。日本再生論。

里山」に惹かれて予約した本だけど、実は完全に経済の本。「資本」というキーワードに重きがあるわけ。だから、冒頭からいきなり「マネー資本主義」とかリーマンショックとか「マッチョな経済」とか。そして、アベノミクスまでも。そして、それの対極にあるのが「里山資本主義」。でも、対極にあるという言い方は間違いかも。いかにサブシステムとして機能するかという点が重要なんだけど。

では、「里山資本主義」とは何か。
中国地方で実践されている事例がまさにそれに当たるということで、NHK広島取材班の報告が前半の部で展開される。
ポイントはエネルギーを自給するということ。木材の需要が減って久しいが、製材の過程で出る木くずを燃やすことで発電する施設や木くずを固めたペレットという燃料を作り、暖房のエネルギーとして使うとか。これにより、エネルギーの地産地消が実現するわけ。
もう一つの事例として、欧州オーストリアの事例も紹介されているよ。オーストリアの場合はロシアからエネルギー供給が止められた場合のリスク対策でもあるんだけど。

そして、これを、

里山資本主義は、経済的な意味合いでも、「地域」が復権しようとする時代の象徴と言ってもいい。大都市につながれ、吸い取られる対象としての「地域」と決別し、地域内で完結できるものは完結させようという運動が、里山資本主義なのである。
と説明しているよ。ただ、これは排他的になるということではなく、
里山資本主義」とは、お金の循環がすべてを決するという前提で構築された「マネー資本主義」の経済システムの横に、こっそりと、お金に依存しないサブシステムを構築しておこうという考え方だ。
ということ。ヘンな表現かもしれないけど、なんだか楽しそうだよね。

そして、最後は人口問題。少子高齢化というけれども、少子と高齢化は別物だとも。そして、これらを解決するのも「里山資本主義」。アベノミクスの成長戦略もいいけど、これからの日本の「成長」の定義って、改めて考えた方がいいんだろうなぁ〜と感じさせる本でした。

里山資本主義 日本経済は「安心の原理」で動く (角川oneテーマ21)
里山資本主義  日本経済は「安心の原理」で動く (角川oneテーマ21)藻谷 浩介 NHK広島取材班

角川書店 2013-07-10
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