バベッジのコンピュータ/新戸雅章

バベッジのコンピュータ (ちくまプリマーブックス)』を読んだよ。機械式って凄い。

機械式計算機を設計したチャールズ・バベッジの物語。ちくまプリマーブックスだから、かれこれ20年ほど前の本。図書館で借りた本は、それほどの汚れもなく、まだまだ新刊ぽい感じを残していたんだけど、これってそれほど読まれていないってこと?伝記の分類だったなのかなぁ〜。
そう、本書はどちからというと伝記。勿論、バベッジの設計した『階差エンジン』と『解析エンジン』の話が中心なんだけど、その仕組みが詳しく説明されているわけではなく、その背景と経緯が主たる話題になっているよ。

で、いきなり結論を言ってしまうと、バベッジの階差エンジンは完成しなかった。ただ、それは当初の設計通りのものが出来なかったということだけど、その機能の一部が動作するものが作られている。これは現存し、

一六〇年以上たったいまも、機械はその時と同じように完璧に動く。その姿を見る者は、「階差エンジンは完成しなかったが、成功した」という事実を改めて噛みしめるにちがいない。
ということになっているよ。そして、完成しなかった要因を、
優れたバベッジ伝をあらわしたブルース・コリアーは、バベッジの並外れた完全主義こそ挫折の最大要因だと見ている。これを受けてリングドグレンも、バベッジが部品に課した精度要求が高すぎたのだと結論した。
と分析しているよ。バベッジは数学者であり、技術者ではなかったということなんだろうね。

そして、バベッジのもう一つの側面である社会学(産業論)。本書では、

作家のポール・ジョンソンは快著『近代の誕生』の中で、バベッジを「産業社会の本質をつかみ、そのような社会が人類に提供する限りない可能性を予見した最初の人間だった」と評価しているが、その集大成とも呼ぶべき書物が『機械類と製造業の経済について』だった。この中でバベッジは技術の進歩が労働者と資本家の双方に利益を与えると論じている。
と言っているよ。これって、現代のイノベーション?ITによる産業構造の変化って現代では密接に関係しているからね。コンピュータの父というより、イノベーションの父って言ったほうがいいんじゃないかなぁ〜。
バベッジのコンピュータ (ちくまプリマーブックス)
バベッジのコンピュータ (ちくまプリマーブックス)新戸 雅章

筑摩書房 1996-03
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