活字の海に寝ころんで/椎名誠
『活字の海に寝ころんで (岩波新書)』を読んだよ。ニッポンのなんと幸せなことか…。
岩波書店の月刊誌『図書』に連載されていた椎名誠氏のエッセイ集。話題は基本的に食と旅。特に今回は食が中心的なテーマかも。それに合わせて、椎名氏が読んだ本の内容も紹介されているところが岩波書店の月刊誌っぽいところ。
で、新書にまとめるにあたって編集されたのが、冒頭の「辺境の食卓」というシリーズもの。世界どこでも旅の椎名氏だから、辺境の地の食事というものがいくつも紹介されているよ。アマゾン、チベット、砂漠、無人島と辺境の地はさまざま。そして、その本として登場するのはやっぱり『十五少年漂流記』。この小説はいろいろな観点で楽しめるわけだけど、椎名氏は、
少年たちが力を合わせてこの島での生活の場を作っていく、工夫と冒険の物語の面白さは勿論のことであるが、このようにして自然のもの、野生のものからいかに生きるための食料を見つけ、それをおいしく食べるか、ということの発見と挑戦の連続に胸が躍る。という。そう、やっぱり食べること。どんな味なんだろ、どういう風に調理したんだろ、と想像するだけで、その匂いや味を想像してしまうよね。
そして、海外に出たとき恋しい日本の味。一か月ほど毎日フランス人のコックの料理に飽きた椎名氏は倉庫にコメを見つけ、
「おお!」という訳でさっそくそれを炊いて、用意のかつおぶしtに醤油をまぶし、ついでに生タマゴをぶっかけ醤油かつおぶし生タマゴまぜゴハンという感動的なまでに元気の出るめしを作ったのである。ということになる。いや、普通の生活をしていても、またにこれがやりたくなる。不思議な日本のゴハンだよね。
最後は洞窟暮らしの話。『アジア・アフリカ生態資源紀行』をいう本に書かれていた中国雲南省の洞窟の中に家を建てて暮らす人たちの話。快適そうな生活だけど、一番の注意は人口過剰。これを椎名氏は、
洞窟の中だからこそ、快適生活を送るための生物の数量制限が必要だろう。深刻な環境汚染に晒されている地球のわかりやすい実験モデルのようで、その意味でも興味深い話だった。と言う。そう、そこに小さな地球があったというわけ。そういう知見って、本を読んでいるだけではだめで、観察力と想像力からの発想なんだよね。あと、経験も必要かぁ〜。
活字の海に寝ころんで (岩波新書) | |
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