負ける力/藤原和博
『(014)負ける力 (ポプラ新書)』を読んだよ。生き方が変わる。
筆者は、元リクルート社員の藤原和博氏。元杉並区立和田中学校長と言った方がピンとくるよね。今は完全な自由業。製品のプロデュースをしたり、著述業だったり。
で、その生き方が、まさに本書のテーマである「負ける力」。ちょっと、このタイトルには違和感というか、よく考えないとピンとこないものがあるんだけど、要はごり押しして一人勝ちするのではなく、他者の力を利用することでシナジー効果を発揮していきましょうということ。それを本書では「ベクトルの和」というキーワードで綴っているよ。
そして、本書はその「ベクトルの和」の事例集という感じ。
特に元和田中校長として、日本の教育制度について持論を展開する中で、この「ベクトルの和」を使って説明しているよ。その日本の教育制度の問題点とは、「正解主義」「前例主義」「事勿れ主義」の3つがその温床になっているということ。そこで、
読者がこの呪縛から逃れるには、前述した「修正主義」「先例主義」「事あれ主義」の習慣(クセ)をつけなければなりません。と言い、修正主義については、常に他者と「ベクトルの和」合わせをすることが訓練になると言っているよ。
そして、もう一つの教育改革について。日本の義務教育の地盤沈下の根本的な原因は、「授業がつまらなくなったこと」だと言う。
テレビやネットで学べてしまう現在の社会では、世の中を知ったかぶりして語る家庭での父親の権威と、中途半端な知識で一斉授業する学校での先生の権威は、自然削がれていきます。ということ。つまりは、社会の情報化の進展の結果だとも。
そこで提案されるのが、オンライン授業。「みんな一緒」の授業から「それぞれ一人一人」の授業への移行だよね。このために必要な技術が「ベクトルの和」。学校だけで教育するのではなく、地域、保護者、学校の三位一体のベクトルの和を最も効果の高いポテンシャルまで持っていくんだよね。
そういう意味でベクトルの概念って凄いよね。力の量とその向きによって、全く異なるパフォーマンスを発揮するわけだから。人間関係も同じ。二人の力量が小さくても、それぞれの力の向きに寄っては、予想外の成果を生むんだよね。うん、それを実践する藤原氏のアイデアが凄いだろうけど。いついつ、正解主義に陥りがちなアッシだからなぁ〜。
(014)負ける力 (ポプラ新書) | |
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