なぜ、国際教養大学で人材は育つのか/中嶋嶺雄

なぜ、国際教養大学で人材は育つのか (祥伝社黄金文庫)』を読んだよ。ビジョンがあるから。

秋田市郊外にキャンパスのある国際教養大学。このところ、大学ギョーカイがメディアで話題になることが多いよね。色々な大学があるのは事実、悪い大学もあれば良い大学もあるわけで、ここ2、3年で良い大学として注目度が急上昇なのが、この国際教養大学
本書は、その国際教養大学の学長である中嶋嶺雄氏が自身の大学についてまとめたもの。2010年12月に書かれていて、開学して6年半の時点での話。それにしても、6年半であっという間に卒業生が企業から引っ張りだこになった原因はなんだろ…と誰でも思うはず。まぁ、それは本書を読んでみれば、分かるはず。

では、どんな教育を行っているのだろうか。
それは色々な仕掛け。1年間の留学の義務化、1年生の全寮制、徹底した少人数教育、GPAの厳格な運用etc。そして、授業も厳しい。授業はすべて英語で行われる。わ〜、アッシももうついていけない…。

設立時の建学の精神はどんなものだったのか。設立準備委員会では「新設する国際系大学は、学士課程で英語教育も含めて教養教育を徹底して行う」という方針だったとか。

いまの日本にはない、世界で活躍できる人材を育成できる大学を作れば、必ず学生は集まるし、社会にも評価される。それには、大学の学部教育で徹底して教養教育を行ない、卓越した英語力と幅広い教養を学ぶ世界標準の大学を作ろう。
と言う。教育も徹底しているけど、ビジョンも徹底しているよね。

もうひとつの特徴は「脱教授会自治」。迅速かつ柔軟な意思決定が可能になるというわけ。これはいいアイデアだよね。既存の大学ではかなり抵抗があると思うけど。

キャリア教育についても。
就職させることがキャリア教育ではないわけで、つまりは、

大事なのは、学生時代に、いかに語るべき自分を作れるかです。「これならだれにも負けない」、そう自信を持って語れる何かを作ることです。
と言い、その為に大学が何をすべきかを考えているんだよね。

最後に、九月入学について。筆者は絶対に進めるべきだと。何故なら、それがグローバル化だから。入学式に桜が咲いていないと…なんて言うのは、

グローバルな世界標準とはあまりにもかけ離れたドメスティックな視野狭窄的発想、と言うしかありません。
と、バッサリと切り捨てる。うん、これくらい徹底してやらないと、学生は育たないし、学生も集まらない時代なんだよね。
大学が多過ぎるから減らせとかいう問題とは、まったく観点が違うわけ。そういう問題ではないってことを、政治家も皆さんに分かってもらいたいんだけどなぁ〜。
なぜ、国際教養大学で人材は育つのか (祥伝社黄金文庫)
なぜ、国際教養大学で人材は育つのか (祥伝社黄金文庫)中嶋 嶺雄

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