生命と記憶のパラドクス/福岡伸一

生命と記憶のパラドクス 福岡ハカセ、66の小さな発見』を読んだよ。タイトルと本文の関連がよく分からないけど…。

週刊文春に連載された福岡ハカセのエッセイ集。副題は「福岡ハカセ、66の小さな発見」。そういえば、最近の書籍の題名は副題が必ず付くよね。どこまでが本題でどこまでが副題か、分からないものも多いし。あっ、いきなり横道に逸れた。本書は、連載されたものをいくつかのカテゴリに分類し、編集したもの。福岡ハカセらしい、分類になっているよ。

で、エッセイの中から、アッシの気になる箇所を幾つか紹介。
まずは必須アミノ酸について。必須っていうくらいだから、必須なのに、動物は自分自身でこれを合成することができない。一見、非効率に思えるけど、それは何故か?福岡ハカセは、

あるアミノ酸が生命に必須となった瞬間、生物は「動物」になりえたのだと。食べ物を探査し、追い求め、獲得すること。これはすべての行動の原型である。必須アミノ酸が生まれたことによって、生物は自ら動くことを求められ、自ら行動しうるものが選抜された。
と解釈しているよ。結果論っぽい気がしないでもないけど、確かにそういう説明も成り立つよね。

さらに、進化論的退化について。退化っていうとどうしても消極的な意味で捉えられているけれども、福岡ハカセの考え方は、ちと違うよ。つまりは、退化には積極的な理由が必要になるのだと。だから、不用だから消えたのではなく、消えたことが有利でなければならないと。例えば、視覚を失った生物について、

だから、視覚という重荷を捨てることができた生物は、その分、身軽になり、負荷とエネルギーを別のことに回すことができるようになった。それが退化の有利さだったのではないか。
と言うハカセ。そう、視覚が無いからって、決して下等生物だなんて言えないよね。むしろ、人間よりある意味進化しているのかも。

最後に、地球上で最も成功している生物は何か?について。勿論、それは人間ではなく穀物類の植物。ハカセ曰く、

二足歩行生物を奴隷化して何から何まで世話をさせているのだ。土地を切り開かせ、大規模に植え、収穫させる。次の年にはまた種をまかせて育てさせる。そのほうびに一部を食わせてやる。
と。うん、まさにおっしゃる通り。本文では、宇宙人が地球を見たら…という想定で語られているんだけど、視点を変えるとまさにそういう訳で、面白いよね。

アッシは福岡ハカセの年齢に近いし、本好き、山好き、コレクション好きとほとんど同類項。すぐにでもお友達になれそうです〜。

生命と記憶のパラドクス 福岡ハカセ、66の小さな発見
生命と記憶のパラドクス 福岡ハカセ、66の小さな発見福岡 伸一

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