動的平衡ダイアローグ/福岡伸一

動的平衡ダイアローグ 世界観のパラダイムシフト』を読んだよ。世界をどう捉えてみるのか。

福岡ハカセ動的平衡、その概念は既読の何冊かで理解しているつもりだけど、今回はその動的平衡をテーマにした対談集。対談の相手は、作家、宇宙物理学者、僧侶、建築家、画家etcと多彩。当然の帰結として、いろいろな見解が出てくるんだけれども、どの対談でも、「動的平衡」に話をまとめていく福岡ハカセが素晴らしい。いや、無理やりにではなく、その理屈がすっと落ちて来るのが、不思議な感覚なんだけど。

では、どんな話が出てきているのか?
カズオ・イシグロ氏との対談では、記憶がテーマ。そこでは、

もしも生命がそのように肉体にもとづくものでないなら、私たちはいったいどうやって「私は私である」というアイデンティティを保つことができるでしょうか。何を根拠に、自分が一貫した存在だといえるのか。それを支えるのが「記憶」なのではないでしょうか。私が記憶に惹かれるのはこのためです。
と福岡ハカセ。いや〜、イメージが湧くなぁ。記憶と動的平衡にはこんな関係があったなんて…。それが発見できたことが素晴らしい。

さらに、画家・千住博氏との対談。滝の絵の話題から、滝そのものに話が移ると、千住氏は「滝は秩序ある混沌である。これは生命体そのものである。人はそこに美を感じる。」と発言。それを受けて福岡ハカセは、

生命は常に秩序を保ちながら、たえまなく失われるものでもある。だからこそ、私たちはそれを見つめたいと願うのかもしれません。
と。そう、滝の話から動的平衡と美について発展するわけ。この理屈も妙に納得なんだけど…。

最後に結論らしきこと。

しかし、ほんとうに大切なことは、私たちが知ろうとする対象物の本来の実相は、むしろ、私たちが止めてしまった動きの方にあるのではないか。動きの中に本質があるのではないか。
と福岡ハカセ動的平衡という概念を説明するひとつの表現がこの言葉なんだよね。これは理解しやすい表現かもね。ここまできたら、福岡ハカセには動的平衡の統一理論の完成を目指して欲しいなぁ。
動的平衡ダイアローグ 世界観のパラダイムシフト
動的平衡ダイアローグ 世界観のパラダイムシフト福岡伸一

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