名著講義/藤原正彦

名著講義 (文春文庫)』を読んだよ。藤原センセーの数学の講義を聞いてみたい。

藤原センセーのお茶の水女子大学での教養ゼミの様子をまとめたもの。各章の最後に藤原センセーのコメントもあり。
その教養ゼミは、藤原センセーが独断と偏見で選択した文庫本を1週間で読み、次のゼミで感想を述べ合うというもの。で、藤原センセーが選んだ本が結構難しいもの。お茶大の学生だから読めるのか…。アッシが学生ならば、最初の『武士道』で逃げ出していたかも。ということで、読む本の半分は明治の本。残りの半分も昭和の前半までのものがほとんど。文体の問題もあるけど、当時の社会背景とか考え方とかをある程度知っていないと、理解が進まないような…。

では、『武士道』以外にどんな本を読んだか。
内村鑑三の『余は如何にして基督信徒となりし乎』と『代表的日本人』、福沢諭吉の『学問のすゝめ』と『福翁自伝』、山川菊栄の『武家の女性』、『きけ わだつみのこえ』、宮本常一『忘れられた日本人』など。
こう並べてみると、どれもが緊張を伴う読書風で、読むのをためらうものばかり。それでも、女子大生たちは頑張って読んでくる。

さて、このゼミの成果は何か?
ひとつは、戦後教育でGHQ日教組に叩き込まれた日本人はダメだという観念を覆そうとすること。もうひとつは、自由の意味をよく理解すること。この二つにアッシ的には整理したんだけど…。特に、幕末から戦前までは、色々な事件があり、日本人の生活は悲惨なものだったのでは?という一般的な認識があるけれども、人々の生活は貧しいなりにも、実は明るく楽しく過ごしていたんだということ。
そういう意味で、日本人は日本人のことを意外と知らないということがよく分かるよね。あるいは、藤原センセーの説のように、知らないように教育を受けていたのかもしれないけど。
日本人として、きちんと日本のことを知る必要はこれからのグローバル社会に進む日本にとって、重要なことなんだろうね。

名著講義 (文春文庫)
名著講義 (文春文庫)藤原 正彦

文藝春秋 2012-05-10
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