水惑星の旅/椎名誠

水惑星の旅 (新潮選書)』を読んだよ。日本にいると水の大切さが分からない。

椎名誠氏の旅ルポものなんだけど、一応はそれなりに取材チームなるものを編成して、分からないことがあれば、自分で調べるというスタイル。雨水タンクまで自宅に設置までしているから、かなり本気モードが入っている。
タイトルに「惑星」とあるから、当然にルポの対象は世界全体。そこは世界各地を旅している椎名氏としては得意なところだろうね。

冒頭は世界の水事情。地球は水の惑星と言われているけれども、実際に人間が飲める淡水はどの位あるのか。地球が直径1mの球だとすると、淡水はわずか17cc。たったのスプーン一杯だとか。少ないよね。その他、ガソリンより高い水を飲んでいるという愕然たる事実。ガソリンは1L当たり140〜150円だけど、ペットボトルの水ってそれ以上の値段だよね。この値段のカラクリはどうなっているんだろ…。

で、実際の水事情。
一番のポイントは日本は水資源については恵まれすぎているということ。世界に目を転じれば、雨水しか淡水を得る手段がなかったり、日常的に川の水を使っているとところがほとんど。雨水でもそれほど飲みたいとは思わないけど、それが川の水となると…。
ただ、日本でも一昔前までは川は人々の生活では日常だったんだよね。それが、護岸工事やダムの影響で、川が日常から遠ざかっているかも。
あとは、海水の利用。海水を淡水化する技術はかなり進んでいるようで、日本でも離島などでは実用化されているよ。これも日本の技術。

さて、これだけ恵まれている日本の水資源。恵まれ過ぎていて、逆に水を大切にしていないのではないか。さらに、日本の水資源を海外資本から収奪され始めていることに気が付いていないことを指摘しているよ。

このままでいくと、やがて日本はいたるところの水脈がこうした寄生虫のようなものにたかられて、何十年後かには水脈のない枯れた土と岩だらけのガイコツのような国土になってしまうかもしれない気味の悪さがある。
と。そう、これはどこかで聞いたことがある話で、なんともヤバイ話。だって、水は命に係わること。これから世界の人口がさらに増えれば、もっと水問題は深刻になるのに…。大丈夫か、ニッポン。
水惑星の旅 (新潮選書)
水惑星の旅 (新潮選書)椎名 誠

新潮社 2011-05-25
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