看板学部と看板倒れ学部/倉部史記

看板学部と看板倒れ学部 - 大学教育は玉石混交 (中公新書ラクレ)』を読んだよ。ミスマッチの問題…。

ここ数年、大学を巡る書籍の出版が増えているよね。世間に知られていない大学の実態が書かれているので、日本の大学がいったいどこに向かおうとしているのかを考えるにはちょうどいい機会なのかも。ということで、今回も内容に関係なく、手に取ってみる。

基本的にはタイトル通りの内容。大学そのものを論じるよりも、その基本的な構成要素である学部を語る。ただし、工学系の場合は、学科に特色がある場合もあるので、その場合はさらに学科の話。

冒頭は、90年代以降の学部増設ラッシュの話。驚いたのは法政で10学部も増設。早稲田も慶応も立教も明治も2学部以上は増設している。最近は明治がかなり増やしているけど。
しかも、学部名が特徴的。いわゆる4文字学部やカタカナ学部。立教の異文化コミュニケーション学部なんて、長すぎやしませんか?って感じ。

続いて、いわゆる昔からの伝統的な各大学の看板学部を紹介。どこも設立当初の教育内容を引き継いでいる学部が多いよね。もう一つの看板学部は、独自の教育内容を掲げて、他大学(他学部)との差別化を図った学部のこと。慶応のSFCがその先駆であるけれども、90年代以降の新学部ラッシュはほとんどがその二番煎じであったような…。

そして、看板倒れ学部の話。どこがそうだということが書かれているわけではないけれども、学部名称と教育内容のミスマッチが大きな問題。それによって、教育内容と学生の期待することのミスマッチが発生する。それは何故かということが本書では詳しく語られているわけだけど、まずは、長ったらしいカタカナ学部名。これでは、何を学ぶのかさっぱり分からんよね。業界人ですら理解できないものが多いし。あとは大学側の説明不足。志願者数を増やすために、わざとお茶を濁す風に本書では書かれているけど…。

でも、結局は、大学と受験生の双方の問題なんだと思う。お互いに、目先のことばかりに囚われていないで、もう少しまじめに考えようよ!ということなんだけど…。

看板学部と看板倒れ学部 - 大学教育は玉石混交 (中公新書ラクレ)
看板学部と看板倒れ学部 - 大学教育は玉石混交 (中公新書ラクレ)倉部 史記

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