就職に強い大学・学部/海老原嗣生
『偏差値・知名度ではわからない 就職に強い大学・学部 (朝日新書)』を読んだよ。データを読むのは難しい。
石渡嶺司氏が『大学の思い出は就活です(苦笑)』で言うように、就活本で比較的信用ができそうな海老原嗣生氏。どうして信用できそうかと思うかというと、学生にも厳しいから。最近の就活っていうと、なんだか社会が悪い、政府が悪い、大学が悪い、でも、学生は悪くないっていう風潮があるけど、海老原氏の見解はそういうステレオタイプの発言ではないってこと。
もちろん、社会が悪いこともあるかもしれないけど、学生も社会のことをまじめに考えているかというと、どうもそんな風には思えないわけで。
では、本書。就活そのものの話ではなく、「就職に強い」と言われている大学が本当に強いのか?あるいは、厳然として就職差別というものが存在し、それが就職氷河期と言われる現代にどう関係しているのか?を探るといった内容。
では、ずばり差別はあるのか?答えは、YES。大学にもあるし、学部にもあるし、男女にもある。その答えが分かってはいるけど、差別があたかも無いかのように就活を考える日本人。本音も建前もゴチャゴチャ。
では、どうしてこのような状況に陥ったのか。根本的には少子化なんだけど、規模を拡大し続けてきた大学が少子化対策として、女子をターゲットとして進学率を上げてきたことがまずはその要因。大学生が増えても、レベルの高い学生が増えてわけではないのに、猫も杓子も人気企業への就職に希望を捨てない。当然、狭き門になるわけで。これって、『大学の思い出は就活です(苦笑)』にも書いてあったことと同じ。
女子の状況も同様でさらにたちが悪いことに、女子大生が増えたことでさらに狭き門になるわけで…。
最後に、筆者の考える大学教育について。
企業が望むのは、的確に相手の質問意図をとらえ、それに対して、説得力の高い応答を、素早く、しかも簡潔に行えることである。そういう力は、「面接対策」ではなく、学問・学究活動をしながら十分磨ける。この部分は、大学教育と融合が可能なはずだ。と言い、就活と大学教育のリンクを見出しているよ。そう、スキルだけではなく、教養と考える力が大学教育の本質なんだろうね。
現代の大学と就職状況について、アッシ的にはほぼ分かってきた感じ。だから、どうするという段階に入らなければいけないんだけど…。
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