日本人は、なぜ世界一押しが弱いのか?/齋藤孝

日本人は、なぜ世界一押しが弱いのか?(祥伝社新書277)』を読んだよ。押しが弱くてもいじゃないか…。

ちょっと刺激的というか、興味をそそられるタイトルの本書。本当に世界一かは別にして、日本人は押しが弱いような気がする。押しが弱いというか自己主張をしないんだよね。空気読み過ぎというか、そういう自分も空気を読み過ぎてドツボにはまることもあるし、逆に空気のおかげでモノゴトがうまく行くこともある。
と、いきなり自分のことを書いてしまったけど、本書は押しの強さという観点からの日本人論。齋藤孝先生の著作だから、読みやすいし楽しめるよ。

本書の冒頭は、日本人の弱さの事例集。これでもかというほど、日本人が色々な意味で弱いことを裏付ける。例えば、武士道について、

むしろ、日本人は自分たちがとても弱いということに自覚的だったからこそ、武士道のような極端なものを作り、精神的な支えとすることが必要とされたのではないでしょうか。
と分析し、日本人が強ければ必要ととしなかったものではないかとも言っているよ。確かに。武士道がなければ、戦わずに逃げ出していたかもしれないね。

では、何故、こんなにも押しが弱いか?齋藤先生の説は、押しが弱い故に、土地を追われ、大陸から押し出されてしまった人々の末裔が日本人なのではないかと。極東の地でもうこれ以上、逃げ場がないし。
さらに、押しの強さは体の強さにも連動していて、それが縄文人弥生人との関係に現れている。つまりは、体の強い縄文人は体の弱い弥生人に押しやられてしまったというわけ。そこで、齋藤先生の面白仮説は、日本の中でも最弱なところは静岡だと…。齋藤先生の出身地だから、多少のバイアスは掛かっているかもしれないけど。

日本語との関係も面白い。
曖昧な表現が得意な日本語を使っている限り、争いごとが避けられる。空気で伝えることで、事前に争いの元を排除する。逆に、日本人が英語を使うと、人格が変わったかと思うほど、押しが強くなるのだとも。

このように肉体的にも精神的にも弱い日本人がこれからのグローバル社会で生き残ることはできるのだろうか?齋藤先生は、個性を捨ててチーム力を活かすことを提案しているよ。

これまでしつこく申し上げてきたように、日本人は、個人個人は悲しいほど押しが弱いのです。個が弱いからこそ、集団、チームとしての強さというものを追求するところに「日本人ならではの強さ」が生まれてきたのです。
と言い、負荷の強い教育を求めているよ。そう、個性なんて後からでもいくらでも付いてくるもの。負荷の中から、創意工夫が生まれてくるんだよね。これこそ、日本人の個性を活かす発想だよね。
日本人は、なぜ世界一押しが弱いのか?(祥伝社新書277)
日本人は、なぜ世界一押しが弱いのか?(祥伝社新書277)齋藤 孝

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