縮小ニッポンの衝撃/NHKスペシャル取材班

縮小ニッポンの衝撃 (講談社現代新書)』を読んだよ。予想されていたことだけど。

本書は、2016年9月25日に放送されたNHKスペシャル「縮小ニッポンの衝撃」の内容を書籍化したもの。基本は少子高齢化と過疎化の問題が掛け算となって日本を襲ってくるという話。そう、その事象がすでに日本の各地で発生し始めている。その事例を紹介し、問題提起するという感じかな。

冒頭の事例は東京都豊島区。消滅都市として名前が上がった時は、その理由が???だったけど、その理由に納得。要は単身者の増加という要因が掛け算の項として加わったということなんだろうね。

そして、2006年に財政破綻した北海道夕張市。その後の徹底した合理化は報道の通りだけど、大きな課題は公共インフラの維持。つまりは、

結論ははっきりしている。現状の公共インフラをそのまま維持し続けるのは到底不可能だということだ。人口の増加に合わせて拡大してきたインフラを今後、大幅に縮小していかなければほとんどの自治体は財政がもたないのである。
ということ。人口は自然減にプラスして、社会減という要因も大きいからね。夕張市の場合は特に。

もう一つの事例は島根県。ここでは、「地域運営組織」という住民組織に一定自治を委譲する制度を立ち上げた。その背景には、

市長自ら「これからは国・県・市町村が何をしてくれるかではなく、住民自らが地域をどうするかという時代です」と市政懇談会で住民に檄を飛ばすほど、行政単位での地域運営は厳しい状況を迎えていた。
というようなことが。今までの行政におんぶに抱っこが良かったのか悪かったのか…。

そして、これらは東京を中心とした首都圏と地方の互助関係の崩壊に繋がっていくわけ。

地方の豊富な労働力を支えに、繁栄を享受してきた東京。そこで生み出した富を地方に再配分することで、日本は急成長を続けてきた。しかし、地方の人口減少が限界に近づき、消滅の危機と格闘している間に、東京への労働力の供給が断たれ、富を生み出すことも、地方に再配分することも叶わなくなっていく。
そう、共倒れ。この問題、根が深いうえに、絡まり過ぎ…。縮小ニッポンはどこに行く。
縮小ニッポンの衝撃 (講談社現代新書)
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